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「第2回 患者団体アドバイザリーボード」を開催

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1.「学会展示ブース等における医薬関係者向け広告資材の一般参加者への配布について(Q&A)」および「コンセンサス・フレームワーク」について

製薬協の田中徳雄常務理事より、3月26日に厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課から出された「学会展示ブース等における医薬関係者向け広告資材の一般参加者への配布について(Q&A)」が、広告規制について、初めて法的整理がされた通知の一つとして紹介がありました。学会の展示ブース等は医学薬学関係者を対象に設置されていると考え、原則として、一般人に対する広告活動とはみなさないという見解です。医学薬学関係者向けの資材であることが明示されていれば、展示ブースに来られた一般者に資材を提供することは広告活動には該当しないとされました。この2年ほど、患者団体のみなさんが働きかけ続け、製薬協としても、監視指導・麻薬対策課に患者さんの声を届け続けた1つの成果と考え、さらに、日本医師会・日本医学会の了解も得たうえでの今回の通知であることが紹介されました。

続いて「コンセンサス・フレームワーク」の紹介が行われました。
「コンセンサス・フレームワーク」とは、国際患者団体連合会、国際看護師協会、国際製薬団体連合会、国際薬剤師・薬学連合、世界医師会の5団体が共通してもつ「世界中の患者さんへ質の高い医療を提供する」という関心をもとに共通の新たな考え方を明示したもので、4本柱からなっています。

「患者を最優先とする」
:私たちは患者さんを第一に考えます。
「倫理的研究と技術革新の支持」
:すべてのパートナーは、効果的かつ適切な治療法について新たな知識を生み出すための臨床研究および関連研究を促進します。
「中立性と倫理的行動を保証する」
:常に倫理に基づき、適切かつプロ意識の高い交流を保ちます。
「透明性確保と説明責任の推進」
:すべてのパートナーは、自身および協働活動における透明性と説明責任を果たすことを推進します。

本フレームワークには強制力はありません。この考え方を受け入れ、自分たちの考えを示すためのフレームワークです。2018年7月に東京で開催されるAPECにおいて本フレームワークや取り組みを紹介し、その場で東京宣言・調印式を計画しています。

アドバイザーからのコメント
患者団体のほうも製薬会社の情報を知りたいという声が多々あり、必要に応じて緩和を望んできた中での通知であるが、今後も患者団体も力を貸すので、引き続き力添えをお願いしたい。

2.「東北メディカル・メガバンク計画」について

製薬協研究開発委員会研究振興部の吉田博明部長より「東北メディカル・メガバンク」について紹介がありました。

東北メディカル・メガバンクとは、2011年3月11日の東北大震災の後、被災地住民の長期健康支援を目的として、2011年6月から計画を立てはじめ、2012年4月から予算化され活動が始動しました。

本計画は、健常な人々(地域住民コホート[集団]:8万人以上、三世代コホート:7万人以上)から、身長・体重・血圧、病歴等の情報や血液データを収集し、数十年追跡しようというプロジェクトです。健常な人々とは歩いて病院に通える人ということで、健常な人から一部患者さんも含まれています。特徴は生のサンプルだけでなく、解析データも併せて保存する点で、「複合バイオバンク」と呼んでいます。年月を追うごとに個人の疾患の発症、重症化のプロセスを追うことができ、早期治療や予防法の解明等につながると考えています。また、症状の進行を追うことで一人ひとりの背景から日本人を対象とした治験の推進に役立つと考えています。「製薬協 産業ビジョン2025」には4つのビジョンがあります。その一つが「先進創薬で次世代医療を牽引する~P4+1医療への貢献~」です。

P4+1医療とは、Personalized(個別化)、Predictive(予測的)、Preventive(予防的)、Participatory(参加型)+Progressive(進歩的)の略で、既存技術の高度化に合わせて創薬を進化させ、患者さんの理解のもと、患者さんごとに最適な薬を適切なタイミングで提供する次世代医療を意味しています。

このビジョンを実現するためには「前向きコホート研究の推進」が必要と考え、タスクフォースを立ち上げました。前向きコホート研究とは、健常な人を対象とした追跡調査により、継続性のある健康・医療データを収集・解析することです。

製薬協としては、前向きコホート研究の推進が国民の健康に寄与し、同時に産業界にもメリットがあると考えており、東北メディカル・メガバンクと連携することで、次世代医療の推進に向けた持続性のある仕組みづくりへつなげたいと考えています。

東北メディカル・メガバンクでは、データを産業界の研究に使って良いという同意を事前に得ているので、製薬協としてそのデータを使うことができます。通常の病院では得られない健常な人のデータが蓄積され、健常な状態から時間が経ち、罹患し、重症化していくプロセスの中で、将来に起きる事象を追跡し解析することで、先進創薬、先制医療を含めた次世代医療の実現に貢献できると考えています。

情報へのアクセスについては製薬協の中に遠隔セキュリティーエリアを設置し、東北大学のパソコンとつなげています。データの漏洩を防ぐために、このエリアは顔・虹彩認証システムで開錠されるようになっており、さらに、パソコンは指紋認証でアクセスできる人を制限しています。室内には監視カメラも設置されており、東北大の監査も受けます。

今後の課題として、東北メディカル・メガバンクでは約300名が働いており、予算・時間がかかることから、国民的理解が必要であると考えます。また、ほかのコホート研究との情報の一元化や連携、生まれてから高年齢期にわたる医療データを集積するための情報技術の進展も今後必要と考えています。

アドバイザーからのコメント
  • 患者団体になにを知ってもらいたいのか、どのような役割を期待しているのか。
    ――前向きコホート研究の推進が国民の健康に寄与し、同時に産業界にもメリットがあると考えており、東北メディカル・メガバンクと連携して創薬を行いたいと考えています。このような取り組みを患者会のみなさんにも知ってもらえればと思います。
  • ほかの(長浜市、久山町)コホートと東北メディカル・メガバンクのコホートの違いはなにか、なぜ製薬協が本コホートを選んだのか。
    ――参加する健常者から十分なインフォームド・コンセントを得ており、創薬をもにらんで産業界のデータ活用が可能になっていることです。

3.アドバイザーへの「治験に関するインタビュー調査」進捗報告および意見交換

<意見交換に先立ち>

製薬協医薬品評価委員会臨床評価部会の近藤充弘部会長より、3月26日に厚生労働省医薬品審査管理課から発出された、治験情報の日本語での公開を求めることを主とした「治験の実施状況の登録」に関する通知の紹介がありました。

本通知では、治験の実施状況や治験結果等を第三者に明らかにし、治験の透明性を確保し、被験者の保護、医療機関関係者および国民の治験情報へのアクセスの確保について触れられています。従来、ClinicalTrials.govのウェブサイト等、海外のウェブサイトに登録を行い、英語での情報発信のみになっている会社も少なくありませんでしたが、日本語でも必ず登録することが求められるようになります。現状、日本語で登録可能なウェブサイトは限定されるため、製薬協では、日本語での情報公開対応が進められるように、環境が整うまでは一般財団法人日本医薬情報センター(JAPIC)等の既存のウェブサイトに登録することを推奨して進めています。

患者さんに届ける治験情報としてはまだまだ不十分なところはありますが、引き続き、より良い方向に進めるようにしたいと思います。

<「治験に関するインタビュー調査」進捗報告および意見交換>

患者さんの声を活かした医薬品開発はPatient Centricityとも呼ばれ、一例として治験実施計画書や同意説明文書の作成に患者さんがかかわる等、患者さんの参画が検討されています。この活動を進めることで、より良い薬をより早く治療の場に供することも期待され、2016年度から製薬協でもタスクフォースを立ち上げて活動しています。2017年12月~2018年1月に実施した5名のアドバイザーへのインタビューを通じて得られた「気づき」について3つのカテゴリーに分けて紹介し、意見交換が行われました。

紹介された「気づき」

1)患者さんの声を活かした医薬品開発(Patient Centricity)

  • 課題として、患者さんとコミュニケーションをとる際に「なにを求めるのか」、「どんなヒントを得たいのか」を明確にしたうえで、目線を合わせてコミュニケーションをとることの必要性。
  • ある程度の知識をもった患者さんとの議論は、医薬品開発をより有用にするためには効果的だが、議論に参加すること自体にハードルを感じているとの声もあり、治験等に対する知識習得やシステム構築の大切さ。
  • 欧米では医薬品審査の過程で、患者さんや患者団体の評価を採り入れる体制ができており、患者さん向けの教育プログラムが整えられている状況の中、日本がその状況に近づくために、業界も連携し進めていく必要性。
  • 製薬会社と患者さんの間にギャップが想像以上にある現状を踏まえ、今後われわれがどれだけマインドを変え患者さんに近づけるのか、そのための取り組みを進めるうえで患者さんの声を聴くことがより良い環境構築につながる点。

2)治験情報公開

  • 治験への参加を望む患者さんが治験に参加できる体制づくりが必要である一方、治験に対する理解不足から参加にかかわるトラブルが起こることもある。トラブルをできる限りなくす必要性と、誰のための情報公開であるかを最優先に考え、製薬会社からの一方通行の情報提供だけでなく、公開方法や内容について再検討することの必要性。
  • 日本語での治験情報の公開は当局から通知を発出したが、検索性の改善や実施医療機関名の情報公開までは踏み込まれていない現状であり、必要な情報が患者さんに届くよう継続した活動の重要性。

3)治験啓発

  • 患者さんに治験情報を届ける際には、共有方法を確立したうえで、興味をもつ患者さんに対する配慮の重要性。
  • 患者さんを含む一般の人々の治験に対する理解度にも差があるため、患者さんが理解できるよう製薬会社が患者さんに近づく必要性、本当に必要な患者さんに情報が届いているのか、方法や内容について検証する必要性。

今後の患者団体と企業の協業に向けて

今後、次のような取り組みを検討していることが紹介されました。

  • 治験情報の公開を積極的に進め、治験に患者さんの声を採り入れる(たとえば治験実施計画書や同意説明文書の作成に患者さんがかかわる)ことが当たり前に実践できるような体制の提案が重要であり、そのためにも製薬企業への働きかけの推進。
  • また、患者団体アドバイザリーボードのみなさんとの協業も2019年度継続をお願いし、インタビューから得た内容をもとにした新たな提案、協業に関するガイドラインの見直し等、さまざまな取り組みの推進。
アドバイザーからのコメント
紹介された「気づき」と今後の活動に対しアドバイザーのみなさんと意見交換を行いました。以下に主なコメントを挙げます。
  • 今回作成している報告書の対象が製薬企業であることは理解しているが、一般の人の目にも触れるのであれば、わかりやすい言葉、日本語での記載を継続検討してほしい。
  • 「ある程度必要な知識を身に付けた患者」のほかに、欧米ではある医薬品での治療を経験した「Patient Expert」という言葉がある。知識を身に付けただけでなく、体験された患者さんも参画してもらうと良いと思う。
  • 臨床研究実施計画・研究概要公開システム(Japan Registry of Clinical Trials、jRCT)やJAPIC等さまざまな治験情報のウェブサイトがあるが、治験情報に関しては一元化をぜひ進めてほしい。
  • 本報告書をもとに今後啓発活動を進めるのであれば、具体的な数値指標を設定したら良いと考える。
  • 民間企業で行われている治験提供サイトの中には広告的な内容が含まれていることもあるので、業界として誤解を生まないよう留意してほしい。
  • 今回、事前にアンケートを実施して論点整理できたことは良かった。今回公表される報告書を活かして学んでいきたいと考えるので、患者さんの目から見ても活かせるような報告書をぜひ作ってほしい。
  • 2018年以降もぜひこのような協働を進めてほしい。
  • 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)でも患者さんの参画に向けた委員会を進めており、2019年度から試験的に研修会が実施される予定であるため、ぜひ歩調を合わせて製薬協でも具体的なやり方を検討してほしい。
  • 医療機関側も患者さんの参画に関してどのように進めたら良いかわからない状況と聞いているため、大変ではあるが進め方のマニュアル等の検討も視野に入れてほしい。
意見交換の様子

閉会の挨拶

最後に田中常務理事より閉会の挨拶がありました。
 「今年製薬協は設立50周年を迎えます。1961年、国民皆保険が導入され医薬品の需要が一気に増えた際に、自分たちの産業への思いが強く、競争の結果、法規制・自主規制が広まりました。製薬協の歴史は流通改善の歴史と言っても過言でないくらい、流通問題に特化した組織でした。しかしながら、1999年に米国で起きたゲルシンガー事件を契機に世界中が一気に利益相反(COI)問題に舵をとったと同時期に、本患者団体連携推進委員会が活動を始めました。そして20年近く活動してまいりましたが、世の中を変える前に製薬会社自身が変わっていかなくてはならないと、今回改めて痛感しました。そして自ら変わるということであれば、ますますこの委員会、製薬協の役割が大きいと強く感じました。引き続きまして2019年度もアドバイザリーボードのみなさま方によろしくご指導をお願いしたいと思います」と締めくくり、「第2回 患者団体アドバイザリーボード」は閉会しました。

(患者団体連携推進委員会 矢野 淳子

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