トピックス 「2019年度コード管理責任者・実務担当者会」を開催

印刷用PDF

2019年9月26日、野村コンファレンスプラザ日本橋(東京都中央区)において「2019年度コード管理責任者・実務担当者会」を開催しました。本会では、会員会社72社(本会開催日時点)から、コード管理責任者とコード実務担当者の計125名(代理出席含む)が参加し、表1のプログラムにしたがって第1部の情報共有と第2部のグループディスカッションが行われ、有意義な会となりました。以下、本会の概要を報告します。

会場全景

表1「2019年度コード管理責任者・実務担当者会」プログラム

開会挨拶

会の開催に先立ち、製薬協コード・コンプライアンス推進委員会の羽田野誠実務委員長は、2019年度の本委員会の基本方針「会員会社が関連法令はもとより製薬協コードをはじめとする自主規範を遵守し、生命関連産業の一員として高い倫理観を持って社会的責任を果たすことを支援する」、ならびに重点課題「会員会社のコンプライアンス推進の支援」「透明性ガイドラインに基づく適切な情報公開の推進」「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインへの対応」「行政及び日薬連、公取協、IFPMA等の国内外の関係団体との連携、情報の収集・発信及びフィードバック」を紹介しました。また、2019年9月にチリにて開催された「APEC ビジネス・エシックス・フォーラム2019」において、2018年、日本において合意・調印されたコンセンサス・フレームワークの啓発・周知活動について製薬協から報告を行ったことを紹介しました。

製薬協 コード・コンプライアンス
推進委員会
羽田野 誠 実務委員長

コード改定報告

羽田野実務委員長は、2018年11月に改定した製薬協コード・オブ・プラクティス(以下、製薬協コード)の会員会社の対応状況(2019年6月に会員会社を対象に実施したアンケート調査結果)を報告しました。続いて、2018年9月に通知された「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」(以下、ガイドライン)を受けて、ガイドラインをベースとした関連団体の規約作成への対応として、2019年9月19日付で製薬協コードを改定したことを報告しました。今回の製薬協コードの改定ポイントは、(1)ガイドラインを遵守することを追記、(2)解説にガイドラインの規定を追記、(3)コード・コンプライアンス推進委員会をガイドライン担当委員会とすることを明記、の3点であり、10月1日より実施となることを説明しました。

また、ガイドライン担当委員会の今後の活動として、会員会社のガイドライン対応状況を把握するアンケート調査を2019年10月に予定していることを紹介し、協力を求めました。

コード・オブ・プラクティス措置事例集

コード・コンプライアンス推進委員会の溝口裕章副実務委員長は、「措置」はコード・コンプライアンス推進委員会が違反会社に対して自主的な改善を求めるものであり、処分やペナルティーを科すこととは異なるものであることをよく理解してほしいと述べました。その後、「IR情報を用いた製造販売承認前のプロモーション活動」「本邦未承認の自社医薬品を含むリアルワールドデータを用いたプロモーション資材」の参考事例について、措置の視点等を説明しました。

措置の視点としては、営業本部の指示命令・実行の過程におけるガバナンスの脆弱性、作成要領に抵触するプロモーション資材について抵触を認識しつつ継続利用した点等を指摘し、「軽微か軽微でないか」「その行為が停止され、適切な再発防止策がとられているかどうか」といった措置の視点を具体的に説明しました。最後に、措置事例集を各社のコード遵守推進の参考にしてほしいと締めくくりました。

製薬協 コード・コンプライアンス
推進委員会
溝口 裕章 副実務委員長

コード理解促進月間施策について

コード・コンプライアンス推進委員会の吉峯洋之実務委員は、2019年度コード理解促進月間の施策について、2018年度の振り返りを含めて説明しました。

はじめに2018度コード理解促進月間に関する会員会社へのアンケート調査結果を報告しました。2018年度のテーマである「インテグリティ」に関しては、「インテグリティの言葉が定着した」「言動等を考える習慣が芽生えている」等理解が浸透してきているといった意見が96%を占めました。また、「私たちの職場の点検項目」の設定に関しても、「コンプライアンスに対するコミットメントを高める効果が期待できる」「自身の職場における問題点をピックアップし、改善に向けての参加意識も高まった」等、有意義であるといった意見が84%を占め、2019年度も継続することとしました。

次に、2019年度のテーマについて、生命関連企業として社会からの信頼は不可欠であることから『信頼』をテーマとしたと説明しました。その背景として、製薬協企業行動憲章において、製薬企業の果たすべき使命として、「医療関係者や患者等と誠実なコミュニケーションを図り満足と信頼を獲得すること」と明記されていること、また製薬協コードでも、「会員会社は適切な産学連携のもと、研究者、医療関係者、患者団体等と相互の信頼関係を構築し、倫理的で患者の立場に立った最適な医療が行われるように努めることが求められている」と記載されていることを説明しました。

製薬協 コード・コンプライアンス
推進委員会
吉峯 洋之 実務委員

特別講演

厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課広告専門官の石井朋之氏と法務指導官の堀尾貴将氏が『最近の医薬品広告規制について』と題した講演を行いました。

講演では、まず、石井氏より、「平成30年度医療用医薬品の広告活動監視モニター事業」の結果概要が紹介され、併せて、2019年度実施している販売情報提供活動監視事業の状況に関連して、モニター医療機関以外のすべての医療機関からの報告受付を近日中に開始する予定であることが紹介されました。続いて、9月6日付事務連絡「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインのQ&Aについて(その3)」について、患者さんの状態に応じ、医療現場の判断で簡易懸濁、粉砕等を行う際に参考となる医薬品の安定性等の情報については、一定の共通ルールにしたがってインタビューフォームへ記載のうえ、情報提供することは差し支えない旨、解説がありました。また、Q&Aに関連して、一包化した時の裸錠での安定性、複数の医薬品を混合した場合の配合変化については、承認審査で確認されていないデータではあるものの、いわゆる「オフラベル」とは異なるので、しっかりしたエビデンスがあれば、求めがなくとも提供可能であることが説明されました。

厚生労働省 医薬・生活衛生局
監視指導・麻薬対策課
広告専門官 石井 朋之 氏

堀尾氏からは、今秋の国会で審議予定である医薬品医療機器等法の改正案について、同法の見直しの経緯、および医薬品等の虚偽・誇大広告に係る課徴金制度の導入が紹介されました。また、その目的は、医薬品医療機器等法で禁止している虚偽・誇大広告で得た経済的利得を徴収し、違反行為者がそれを保持し得ないようにすることによって、違反行為の抑止を図るものであり、公正な競争環境を確保することを企図したものであることが説明されました。

厚生労働省 医薬・生活衛生局
監視指導・麻薬対策課
法務指導官 堀尾 貴将 氏

グループディスカッション

コード管理責任者・実務担当者会の第2部は、『適切な販売情報提供活動の為の取り組み』をテーマとして、参加した会員会社68社のコード実務担当者が9班に分かれ、「ガイドラインに関する業務上の疑問や悩みを解消すること」を目的にグループディスカッションを実施しました。各班のディスカッションでは、モニタリング、資材審査、教育(内容、体制)、評価、業務記録の作成・管理等を題材に各社の具体的な取り組みや悩み・課題を議論し共有できました。今回のディスカッションで得られた情報は各社のガイドライン対応に役立つものと思われます。

グループディスカッション

謝辞および閉会挨拶

製薬協の田中徳雄常務理事は、特別講演に対する謝辞の中で会員会社に以下の要請を行いました。

「今までの幾度にもわたる厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課の講演・指導にもかかわらず、不適切な情報提供活動が減っていない。新しい資材を利用した情報提供活動、MR等による情報提供活動のほとんどは、製薬協会員会社の72社が占めており、この72社がしっかり対応、取り組んでいくことが重要である。本日の特別講演を踏まえ、今、ここから行動を変えていくつもりで臨んでほしい」

また、閉会挨拶において、コード管理責任者・コード実務担当者の本会への参画および日々の活動への謝辞とともに、以下のとおり本会を締めくくりました。

製薬協 田中 徳雄 常務理事

「製薬協コードについて、IFPMAコード改定に伴い2018年に改定を行い、また販売情報提供活動に関するガイドラインの全面適用に伴い2019年9月にも改定を行った。会員各社はその趣旨を理解のうえ、自社コード改定への対応をお願いしたい。今回の改定には、優れた医薬品について正しく情報提供を行い、困っている患者さんや人々の健康を守るといった強い思いがある。また、社会からの信頼には透明性の確保が欠かせない。製薬協として、より一歩進めた透明性を確保したいと考えているので、公開方法について今一度社内で検討のうえ見直しをお願いしたい」

(コード・コンプライアンス推進委員会 理解促進部会 実務委員 小澤 芳樹

このページをシェア

TOP