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グローバルヘルスへのイノベーションの貢献


グローバルヘルスの世界の動向
国際委員会 委員長 土屋裕 氏

製薬協のグローバルヘルスに関する優先課題と活動
国際委員会 グローバルヘルスグループリーダー 齋藤みのり 氏

イノベーションと知的財産について
知的財産委員会 副委員長 設楽研也 氏

製薬協広報委員会は2013年3月12日、「グローバルヘルスへのイノベーションの貢献」をテーマに、製薬協国際委員会 土屋裕委員長、同国際委員会グローバルヘルスグループ齋藤みのりリーダーおよび知的財産委員会 設楽研也副委員長が講演を行いました。講演の概要は以下の通りです。


●講演1 グローバルヘルスの世界の動向
国際委員会 委員長 土屋 裕氏

 グローバルヘルスとは、グローバリゼーションの進展に伴い、地球規模で解決することが必要な保健医療問題と定義され、その主要課題は、(1)感染症対策、(2)国連のミレニアム開発目標の達成、(3)非感染性疾患の予防と管理、(4)保健システムの強化、などがあります。グローバルヘルスには3つのステージ(3D:Discovery〈発見〉、Development〈開発〉、Delivery〈デリバリー〉)に対する包括的アプローチが必要ですが、NGOが開発に関与することや、医療保険制度が整備されていない新興国・途上国でのデリバリーなどの点が特徴です。また近年、グローバルヘルスに対して世界規模の官民パートナーシップによるアプローチがみられるようになっています。
 国際社会において、世界で有数の創薬国である日本が、イノベーション力により途上国、新興国の人々の保健医療に貢献することが期待されていますが、われわれ製薬産業が持続的に取り組むためには、単なるチャリティーではなく、新興国、途上国への長期的な投資としての視点、参入戦略としての視点が必要ではないでしょうか。新興国・途上国におけるコーポレートブランドの向上などの意義に加え、これらの国々の保健医療の改善が経済発展につながり、われわれの将来の市場に発展してゆくと思います。

●講演2 製薬協のグローバルヘルスに関する優先課題と活動
国際委員会 グローバルヘルスグループ
齋藤 みのり 氏

製薬協の国際連携
 製薬協では、政府、国際機関などの各種ステークホルダーと連携し、発展途上国の医薬品アクセスの改善に貢献することを国際協力事業に関する基本方針としています。具体的な活動としては、アジアを中心とした研修生の受け入れや技術指導専門家派遣などを実施しており、1989年度から2010年度の22年間における事業費支出累計は6.2億円にのぼります。そして2012年11月9日に、製薬協としては初めて地球規模の保健医療の課題と解決されるべき方向性を明記した、グローバルヘルスに関するステートメントを発表しています。

製薬協のグローバルヘルス優先課題
〈イノベーション:医薬品およびワクチン創出〉
発展途上国特有の疾患については、あまり市場性 がないため、イノベーションから取り残されてき た一面があります。この解決には、新薬創出を加 速させる環境整備や、これまでの「援助国と被援助 国」といった垂直的ではない、柔軟な対応に基づく製品開発パートナーシップや、官民連携が必要と なります。

〈3大感染症および顧みられない熱帯病(NTDs:Neglected Tropical Diseases)〉
3大感染症(HIV/AIDS、結核、マラリア)やデング 熱、狂犬病をはじめとするNTDsに関しては、世 界保健機関(WHO)によると主として貧困層の多い 149の国・地域で蔓延し、患者数は10億人を超え ています。これらの疾患の治療薬の研究・開発に ついて、近年、製薬協会員企業の取り組みが活性 化しています。 〈能力開発〉 発展途上国における医薬品アクセスに、製薬協と して貢献できる最も効果的な方法は、実務指導と 教育訓練です。実務指導についてはカンボジアに おけるGMP支援、カンボジア・フィリピンにおけ る偽造医薬品対策プロジェクト(金沢大学・現地政 府との協働)を実施しており、教育訓練については、 アジア各国政府関係者に対する医薬品品質トレー ニングを20年以上実施しています。また各会員企 業の取り組み事例も増えています。

〈偽造医薬品対策〉
2012年12月のIFPMA(国際製薬団体連合会)のリ リースでは、アジア、アフリカで購入された抗マラ リア薬の15~50%が偽造医薬品であると記載さ れています。偽造医薬品は、治療効果が得られない、 あるいは予期せぬ副作用により身体障害や死に至 るリスクがあり、日本においても、個人輸入によ る偽造医薬品による健康被害が報告されています。 製薬協では、2012年7月にIFPMA、PhRMA(米 国研究製薬工業協会)、EFPIA(欧州製薬団体連合 会)とともに、偽造医薬品対策を支援する共同声明 を発表しています。

〈非感染性疾患(NCDs:Non-Communicable Diseases)〉
心血管系疾患、がん、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患 などのNCDsによる死亡の割合が増加しており、 アフリカを除く新興国や発展途上国でも感染症に よる死亡を上回っています。製薬協会員企業では、 引き続きNCDsの新薬創出に向けた研究開発に注 力するとともに、広く発展途上国にも提供するこ とにも取り組んでいます。

〈知的財産制度〉
製薬企業にとって研究開発の成果である特許権、商 標権、データ等の知的財産が適切に保護されるこ とが、研究開発を継続するため、そして全世界の 人々が医薬品にアクセスできる社会や体制を構築・ 維持するために不可欠であると考えています。

 今後も製薬協および会員企業は、自身がグローバ ルヘルスにおける重要なステークホルダーであるこ とを認識するとともに、国際機関、各国政府、NGO、 海外の製薬団体とのさらなる連携を通じて、発展途 上国の保健医療の向上に貢献していきます。

●講演3 イノベーションと知的財産について
知的財産委員会 副委員長 設楽研也 氏

イノベーションと知的財産
 医薬品の研究開発には、(1)低い成功確率、(2)莫大なコスト、(3)長い研究開発期間という3つの特徴があります。さらに近年、成功確率は低下している一方で、成功した医薬品を模倣するのは比較的簡単であり、知的財産権による適正な保護が、新薬創出のための研究開発費の回収と次の新薬創出への再投資には不可欠となっています。

各国の知的財産状況
 最近、インドあるいはインドネシアやエクアドルなどでの強制実施権の発動など、知的財産保護の国際的枠組みを弱体化させかねない動きがみられます。1995年の世界貿易機関(WTO)の貿易関連知的財産(TRIPS)協定により、加盟国政府は一定の条件下で強制実施権を発動することが認められていますが、製薬協ではあくまで緊急避難的な状況に限るべきであり、発動に際しては合理性および透明性が欠かせないと考えています。

新薬創出とグローバルヘルスへの貢献
 製薬協では、まずグローバルヘルスには、新薬創出国として貢献するとともに、医療へのアクセスが十分でない発展途上国には、その改善に協力するとともに、知的財産権の利用が必要な場合には、フレキシブルな運用を考えています。また、BRICSなど著しい経済発展を遂げている国に対しては、世界で必要とされる医薬品開発について応分の負担をしてもいい時期にきていること、持続可能な医薬品アクセス向上のためには、知的財産制度の適切な制度設計とその運用が欠かせないことを主張していきます。


以上が今回のフォーラムの要旨でした。

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