日本における新薬の臨床開発と承認審査の実績 2000~2014 年承認品目
加賀山 貢平(医薬産業政策研究所 主任研究員)
小野 俊介(東京大学大学院薬学系研究科 医薬品評価科学講座 准教授)
(No.68:2015年11月発行)
2014年は承認品目が138品目で、2000年以降で、最も多くの新医薬品が承認された。2014年承認品目の臨床開発期間の中央値は全品目(全体)で36.2ヶ月、新有効成分含有医薬品(以下、NME)で48.2ヶ月、NME以外で33.3ヶ月であった。2013年に比べると全体で0.9ヶ月の延長、NMEで1.8ヶ月の短縮、NME以外で3.7ヶ月長くなっており、NMEでは2000年以降の調査で最短となった。他方、2014年の審査期間の中央値は全体で10.1ヶ月、NMEで10.5ヶ月、NME以外で9.9ヶ月であった。2013年に比べるとNMEで0.5ヶ月の短縮、NME以外で0.1ヶ月長くなっているものの、全体では変わらず、欧米とそん色ない審査期間であった。
2000年に比べると臨床開発期間、審査期間は大幅に短縮してきており、直近の2011年から2014年の4年間の実績より、短縮されてきた期間はほぼ定着してきたと言える。今後も、海外臨床データの積極的な利用、国際共同治験やアジア治験への参加、臨床データパッケージの工夫などを通して臨床開発期間がさらに短くなることが期待される。また、事前評価相談制度の有効活用による審査の迅速化、審査プロセスの標準タイムラインの順守、プロジェクトマネジメント制度による審査の透明化など既に導入されている制度を確実に推進していけば更なる審査期間の短縮や効率化にもつながると思われる。併せて、今後は審査の質の向上にも期待がかかる。照会事項や審査報告書の早期照会による業務の平準化、審査人員の増員に対応する教育の充実、品質管理部門部や信頼性保証部との連携など、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)内での審査部門と他部門との連携の強化が重要であり、それらの結果としてより充実した審査となることを期待したい。また、PMDAが求めている承認申請時の電子データ提出では、PMDA自らが臨床データ等を活用した解析や研究を行うことにより、審査や相談において、より合理的で効率的な評価・判断プロセスの構築を進めることとされている。より有効で、より安全な医薬品をより早く医療現場に届けることができるよう、行政と申請者が協力して、お互いの業務効率やさらなる質の高い審査制度について今後も議論を継続していくことが期待される。