製薬企業とベンチャー企業とのアライアンスにおける意識のギャップに関する研究

下川 昌文、關野 一石、豊島 聰(武蔵野大学大学院薬科学研究科レギュラトリーサイエンス研究室)
小林 和道(医薬産業政策研究所 元首席研究員)

(No.65:2015年05月発行)

オープンイノベーションの重要性が言われている中、日本における製薬企業と創薬ベンチャー企業との間で、活発なアライアンスが成立しているとは言い難い状況にある。その原因として、アカデミアが果たすべき役割と企業での臨床開発の狭間にシーズが落ち込む、いわゆる"死の谷"の問題が様々な場面で言われてきた。しかし、我々は、アカデミア・ベンチャー企業と製薬企業の意識の違い、認識のギャップ、相互の理解不足等も大きな阻害要因になっているのではないかと考えた。

本研究では、意識・認識のギャップの内容を客観的に解析し、その程度を評価するため、ベンチャー企業と製薬企業の双方に、ヒアリング調査並びにアンケート調査を実施した。その結果、意識あるいは認識のずれは、アライアンス不成立の理由、アライアンスのタイミングなど様々な点で認められた。ベンチャー企業は、製薬企業の評価方法やアライアンス提案先の適切な選定方法について理解又は意識が不足しており、製薬企業はアライアンス提案に対する断り理由の説明やアライアンスの意思及び興味を持っている分野・技術等の内容についての情報提供が不足しており、意識や理解のギャップの原因は、ベンチャー企業の理解又は意識の不足と製薬企業の説明・情報提供不足であると考えられた。

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