日本における新薬の臨床開発と承認審査の実績 2000~2013 年承認品目
源田 浩一(医薬産業政策研究所 前主任研究員)
小野 俊介(東京大学大学院薬学系研究科 医薬品評価科学講座 准教授)
(No.63:2014年11月発行)
2013年は承認品目が123品目で、2011年の131品目に続き多くの新医薬品が承認された。2013年の臨床開発期間の中央値は全体で35.3ヶ月、NMEで50.0ヶ月、NME以外で29.6ヶ月であった。2012年に比べると全体で6.3ヶ月、NMEで5.7ヶ月、NME以外で4.6ヶ月短くなっており、全体とNMEでは2000年以来の調査で最短となった。他方、2013年の審査期間の中央値は全体で10.1ヶ月、NMEで11.0ヶ月、NME以外で9.8ヶ月であった。2012年に比べると全体で0.6ヶ月、NMEで0.9ヶ月、NMEで0.8ヶ月長くなっているが、いずれも1ヶ月未満であり、これまでと遜色のない審査期間であったと思われる。
2000年に比べると臨床開発期間、審査期間は大幅に短縮してきた。その中で直近の2011年から2013年の3年間については、概して安定した期間で臨床開発や審査が行われてきたと言える。今後ともフェーズⅡ,Ⅲはもちろんのこと、フェーズⅠについても海外のデータの積極的な利用、国際共同治験やアジア治験への参加、臨床データパッケージの工夫などを通して臨床開発期間がさらに短くなることが期待される。
一方で、事前評価相談制度の有効活用による審査の迅速化、審査プロセスの標準タイムラインの順守、プロジェクトマネジメント制度による審査の透明化など既に導入されている制度を確実に推進していくことができれば更なる審査期間の短縮も可能と考えられる。しかしながら、照会事項や審査報告書のやり取りの前倒しによる業務の平準化、審査人員の増員に対応する研修の充実、安全性部門や医療機器審査部門との連携など、PMDA内での審査部門と他部門との連携の強化、組織力の強化が重要であり、それらを着実に進めていくことにより充実した審査となることが望まれる。
また、PMDAが求めている承認申請時の電子データ提出では、PMDA自らが臨床データ等を活用した解析や研究を行い、審査や相談において、より合理的で効率的な評価・判断プロセスの構築を進めることを狙いとしている。より有効で、より安全な医薬品をより早く医療現場に届けることができるよう、行政と申請者が協力して、お互いの業務効率やさらなる質の高い審査制度について今後も議論を継続していくことが期待される。