日本における新薬の臨床開発と承認審査の実績 2000~2012 年承認品目
長谷藤 信五(医薬産業政策研究所 前主任研究員)
小野 俊介(東京大学大学院薬学系研究科 医薬品評価科学講座 准教授)
(No.62:2014年01月発行)
2012年は承認品目が120品目で、2011年の131品目に続き多くの新医薬品が承認された。2012年の臨床開発期間の中央値は41.6ヶ月、審査期間の中央値は9.5ヶ月であり、2011年に比べ、臨床開発期間、審査期間ともに0.6ヶ月短く、審査期間では2000年の調査以来最も短い期間であった。
2011年より臨床開発期間、審査期間は大幅に短縮してきた。今後とも海外データの積極的な利用や国際共同治験への参加を通して臨床開発期間を短くすることや、事前評価相談制度の有効活用による審査の迅速化、審査プロセスの標準タイムラインの順守、プロジェクトマネジメント制度による審査の透明化など既に導入されている制度を確実に推進していくことが必要であろう。
また、照会事項や審査報告書のやり取りの前倒しによる業務の平準化、審査人員の増員に対応する研修の充実、安全対策を講ずべく安全性部門との連携やコンパニオン診断薬を伴う新医薬品審査における医療機器審査部門との連携など、PMDA内での審査部門と他部門との連携の強化、組織力の強化が今後効果的に審査を推進していく上でますます重要になってくるであろう。
PMDAが取り組もうとしている申請時に電子データを提出することにより自ら解析・評価する米国型の審査制度の構築により、照会事項のやりとりの軽減につながることが期待されている。一方で、現在既に短縮されている審査期間への影響も懸念される。
新しい取り組みが導入される中、より有効で、より安全な医薬品をより早く医療現場に届けることができるよう、行政と申請者が協力して、お互いの業務効率やさらなる質の高い審査制度について議論を継続していくことが期待される。