製薬産業の国際競争力と創薬環境としての税制 高付加価値経済への構造転換に国内製薬産業が貢献するために

長澤 優(医薬産業政策研究所 首席研究員)

(No.52:2012年03月発行)

我が国の国内製薬産業は日本を代表する知識集約型、高付加価値産業であり、研究開発を通じてイノベーションを実現することにより世界の人々に貢献し、そこから得られる成果を国内に還流させて更なるイノベーションに繋げる「成長のビジネスモデル」を実現するポテンシャルを有している。このため、今後の資源制約、少子高齢化、人口減少、新興国との競争という環境のなかで日本経済が持続的成長を遂げるために必要な知識集約型、高付加価値経済への経済構造の転換に際し、国内製薬産業はリーディング産業としての役割を果たすことが期待される。

国内製薬産業がこのような期待に応えていくためには、産業自身の努力とともに国内の創薬環境の整備、強化が不可欠である。競争力を有する製薬産業を国内に抱える創薬先進国では自国の創薬環境の強化のために積極的に税制が活用されており、日本においても自国を魅力的な創薬の場とするために税制は重要な政策手段となる。

とりわけ、製薬産業のような知的資産を資源として高い付加価値を生み出す先端産業を振興し、イノベーションを核とする成長のビジネスモデルを自国に根付かせるためには、研究開発投資の活発化に直接働きかける研究開発促進税制や知的資産の創造と集積を促進する知的財産優遇税制が重要となる。

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