製薬企業とバイオベンチャーとのアライアンス 日米欧製薬企業の比較分析
高鳥 登志郎(医薬産業政策研究所 前主任研究員)
中村 健太(神戸大学大学院経済学研究科講師、一橋大学イノベーション研究センター非常勤共同研究員)
長岡 貞男(一橋大学イノベーション研究センター教授)
本庄 裕司(中央大学商学部教授、一橋大学イノベーション研究センター非常勤共同研究員)
(No.48:2009年11月発行)
製薬企業において新薬の創出が困難さを増している中、バイオテクノロジーをベースとした独自の創薬技術をもとに新薬を生み出す創薬型バイオベンチャー(以下、創薬ベンチャー)が存在感を示すようになってきた。製薬企業にとって効率的かつ効果的に革新的な医薬品を創出するためには、創薬ベンチャーとアライアンスを組むことにより新薬シーズを取り込み、開発パイプラインを増強することが重要な戦略課題となってきている。また近年では製薬企業によるバイオベンチャーの買収が進展しつつあり、両者の間の垂直統合強化の傾向も見られるようになっている。
本研究は、日米欧製薬企業が上市した主要医薬品および新薬開発のパイプラインにおいて創薬ベンチャーがどの程度に重要となっているのか、特に製薬企業の開発品目の中で創薬ベンチャーからのライセンスやその買収によるシーズ獲得がどのように重要になってきているか、それに日米欧の製薬企業の間にどのような差が存在するか、外部から導入されたシーズの質は高いのかどうか、そして外部シーズの導入が製薬企業のパフォーマンスにどのように影響を与えるかを分析する。