薬剤経済学的評価に関する製薬企業へのアンケート調査

池田 俊也(国際医療福祉大学 薬学部薬学科 教授)
三ノ宮 浩三(医薬産業政策研究所 主任研究員)

(No.44:2008年12月発行)

薬剤経済学研究は、諸外国において医療に関する政策決定における利用が進展している。薬剤経済学的評価の医療政策への導入は主に欧州諸国で進んでおり、さまざまな機関が設立され、保険償還の可否といった意思決定等に利用されている。そのため各製薬企業は対象国において薬剤経済学的評価を実施することが必須となっている。

わが国においては、政策決定における薬剤経済学の活用可能性はしばしば指摘されているものの、具体的な利用には至っていない。政策的に薬剤経済学的評価を利用するには、評価システムの確立をはじめ、ガイドラインやデータベースの整備、教育・研究体制の構築等、いくつかの課題に対応する必要がある。また、日本では薬価算定の際に薬剤経済学的評価資料の提出が必須ではなく、保険償還の可否といった意思決定等にも利用されていない。

そこで今回、薬価算定時の薬剤経済学的評価資料はどの程度提出されているのか、また各製薬企業において薬剤経済学的評価がどのように利用されているのか等を調べるため、2つのアンケートを同時に実施した。また、新薬を対象とした薬剤経済学研究の公表論文のレビューも併せて実施し、これらの結果を踏まえ、わが国における薬剤経済学的評価に関する課題と展望について考察した。

ダウンロード

このページをシェア

TOP