日本におけるドラッグ・ラグに関する調査 製薬企業アンケートに基づく現状と課題

石橋 慶太(医薬産業政策研究所 主任研究員)

(No.40:2008年06月発行)

日本におけるドラッグ・ラグ(欧米と比較した新薬上市時期の差)の現状と要因を明らかにすること、及びドラッグ・ラグ解消に向けた課題を整理することを目的とし、2007年10月~12月に製薬企業に対してアンケート調査を行った。

2000年~2006年に国内で承認された新有効成分含有医薬品(158品目)において、米国又は欧州で先行上市された品目は104品目あった。このうち、開発企業によるアンケート回答の得られた97品目についてのドラッグ・ラグは、欧米と比べて約4年であった。このラグの詳細を分析した結果、該当品目の創製国、対象疾患、開発経緯などにより、ラグの程度が大きく異なることが分かった。ドラッグ・ラグを構成する要素として本調査では、国内外の「治験着手時期」、「臨床開発期間」、「審査期間」の差に着目した。治験着手時期については、欧米と比べて2年前後の差があったが、ドラッグ・ラグ同様、開発経緯などのカテゴリー別に分けてみると、着手差の程度は大きく異なっていた。臨床開発期間及び審査期間についても、国内では欧米と比べて時間を要していたことが分かった。なお、開発企業の視点からみたドラッグ・ラグの要因としては、国内導入や治験着手の遅れについての回答が最も多く、これらに次ぐ要因は、国内審査や治験の長さの影響であった。

ドラッグ・ラグ解消へ向けての課題として、製薬企業は、「日本を含む国際共同治験の実施」や「日本での治験着手時期の見直し」を重要視していることが分かった。また、製薬企業の視点から医療機関に対しては、「治験に係るインセンティブの確保」を、規制当局に対しては、「相談体制の充実強化」、「審査基準の明確化」などの課題への取り組みを望んでいることが分かった。

本研究の留意点としては、分析対象品目の約9割が結果的に海外オリジンであったことである。つまり、国内のドラッグ・ラグは、海外オリジン品目が日本へ導入された時期が遅かったことによる影響を大きく受けたといえる。また、ドラッグ・ラグ問題解消に向けての今後の検討にあたっては、将来起こり得るドラッグ・ラグ(欧米では上市されているが、現時点で日本では上市されていない品目が該当する)や、国内で上市されていても適応疾患の違いから服薬出来ない医薬品がある状況についても着目する必要があろう。

ダウンロード

このページをシェア

TOP