日本における新医薬品の承認審査期間 (1996年~2005年承認品目)

安田 邦章(医薬産業政策研究所 主任研究員)

(No.35:2006年12月発行)

日本における承認審査期間について、年次による変化や個々の品目特性等が審査期間に与える影響を分析した。2005年に承認された新薬(部会審議品目)の承認審査期間は、2004年と比べて通常審査品目6.5ヶ月、優先審査品目16.8ヶ月長くなっていた。日本と米国の全承認品目の審査期間を比較すると約1年の差があり、過去の推移からみるとその差は再び拡大している。12ヶ月以内の承認品目の割合をみると、通常審査品目では米国46.4%であるのに対して日本は1品目もなく、優先審査品目では米国90.0%、日本20.8%となっていた。日米の審査期間の差は縮小してきているといわれているが、未だ大きな違いがあるといえる。このような状況を改善するためには、審査官の増員などの審査処理能力の向上とともに申請企業が作成する審査資料の質を高める必要があり、審査当局が国内承認審査の方向性や明確な審査基準を新薬開発企業に事前に示すことや治験相談機能の強化などが必要であろう。すなわち、申請前段階から国内承認審査が遅滞なく行える合理的な作業プロセスの構築は、新薬開発企業の申請資料の質の向上、申請後の本来不要となる作業の減少を通じて、審査の迅速化にも寄与する可能性が高いといえる。

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