国際比較にみる患者満足度と製薬産業のイメージ 医療および医薬品満足度と製薬産業イメージの要因分析

塚原 康博(明治大学情報コミュニケーション学部 教授)
藤澤弘美子(明治大学情報システム事務部)
岩井 高士(医薬産業政策研究所 主任研究員)
笹林 幹生(医薬産業政策研究所 主任研究員)
福原 浩行(医薬産業政策研究所 前主任研究員)

(No.34:2006年11月発行)

医療および医薬品に対する患者満足度と製薬産業に対するイメージの国際比較を通じて、患者が求める医療や製薬産業のあり方を明らかにするため、日本、米国、イギリス、ドイツ、フランスの医療消費者を対象に調査・分析を行った。

その結果、5か国ともに医師の治療技術に対する満足度が高く、患者の意思尊重と医師との対話に対する満足度は医療全般に対する満足度の主要な要因だった。さらに、医薬品に対する満足度は医療全般に対する満足度に強い影響力を持っていた。医薬品に対する満足度に影響する要因として日本に特徴的だったのは、医薬品の安全性に対する満足度であった。一方、信頼性と倫理性は産業イメージに最も強く影響する各国共通の要因であることが示された。また、5か国ともに「製薬産業は将来性が高く革新的だが利益志向」とのイメージを持たれていたが、日本ではこれらのイメージは他の4か国に比べて強くなかった。

本研究では、国民的な性格傾向や社会的な満足水準が異なる各国データを比較可能とするため、生活全般の満足度に対する相対的な満足度を用いたが、この妥当性を検証することは今後の課題である。また、国際比較の際は、医療制度や広告規制などの違いに留意した上で結果を考察することが必要と考えられる

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