優れた薬物療法のさらなる普及をめざして優れた薬物療法のさらなる普及をめざして C型肝炎ウイルス感染者におけるインターフェロン療法受療の現状と考察

長尾 由実子(久留米大学医学部消化器疾患情報講座 助教授)
佐田 通夫(久留米大学医学部消化器疾患情報講座 教授)
鈴木 史雄(医薬産業政策研究所 主任研究員)
野林 晴彦(医薬産業政策研究所 前主任研究員)
川上 裕(医薬産業政策研究所 前主任研究員)

(No.32:2006年08月発行)

優れた薬物療法や新しい医薬品は、医療現場で広く患者に用いられることによって、大きな価値を持つ。しかし、それは容易なことではなく、一例として、C型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)療法が挙げられる。IFNは1992年に認可され、副作用を伴うことがあるものの、肝がん発生の抑制と生命予後の改善の面で、現在C型慢性肝炎の第一選択薬として肝臓専門医には高い評価を得ている。ところが現実には、C型慢性肝炎に対するIFN治療の受療率は高くない。

本調査では、ある地区のC型肝炎ウイルス感染患者について、患者、担当医師(専門医および非専門医)双方へのアンケート調査を行うことにより、IFN療法の実態を把握し、新しい医薬品や薬物療法のさらなる普及に向けた医療のあり方を考察した。

調査結果から、患者のIFN治療の受療率を高めるためには、医師が患者にIFN療法を正しく、わかりやすく説明、推奨し、患者の理解を深めることが重要なポイントであることが明らかになった。その実現には、患者と担当医師とのコミュニケーションの質を向上させること、ならびに専門医と非専門医の協力・連携のあり方について地域内で協議する必要があると思われる。

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