医療消費者と医師とのコミュニケーション 意識調査からみた患者満足度に関する分析
山内 一信(名古屋大学大学院医学系研究科医療管理情報学 教授)
真野 俊樹(多摩大学医療リスクマネジメント研究所 教授)
塚原 康博(明治大学情報コミュニケーション学部 教授)
藤澤 弘美子(明治大学情報システム事務部)
野林 晴彦(医薬産業政策研究所 主任研究員)
藤原 尚也(医薬産業政策研究所 主任研究員)
(No.29:2005年07月発行)
近年、患者中心の医療の実現や、患者満足度の向上が求められている中で、医療の現場における「医療消費者と医師とのコミュニケーション」が注目されている。本研究では、このコミュニケーションに焦点をあて、医療消費者と医師の双方に意識調査を実施し(医療消費者1,131名、医師1,101名)、両者の認識の違いを探った。さらにそのデータをもとに、患者中心の医療に関する両者の認識や、信頼関係の構築に影響を与える要因、患者満足度を高める要因、あるいはヘルスリテラシーに関する分析、また、医療での意思決定に関する両者の認識、など多様な角度から分析と考察を行った。
その結果、医療消費者と医師との間には、医療や薬剤に関する考え方や認識に大きな違いがあることが明らかになり、それらが両者のコミュニケーションを阻害している原因であることがわかった。患者中心の医療を実現し、患者満足度を高めるためには、医療消費者と医師とがこの違いを理解し、お互いに歩み寄ることが大切である。