国際比較にみる日本の製薬企業 財務データを中心に
藤原 尚也(医薬産業政策研究所 主任研究員)
櫛 貴仁(医薬産業政策研究所 主任研究員)
山本 光昭(医薬産業政策研究所 主任研究員)
小野塚修二(医薬産業政策研究所 主任研究員)
(No.23:2004年10月発行)
製薬産業を取り巻く環境が厳しさを増すなか、国際的な競争に打ち勝つために製薬企業はどのような行動をとってきたのだろうか。本研究では、国内外の製薬企業を企業の規模別、国籍別(日米欧)に、売上高、コスト構造、研究開発投資などが直近10年間でどのように変化してきたか、財務データを用いて比較、分析を行った。
その結果、日本企業は、この10年間、母国市場がわずかな成長にとどまっている中で、海外展開を積極的に進めることにより、成長率は低いながらも売上高を伸ばしてきた。そして同時にコスト削減にも努めてきた結果、営業利益は額および率ともに向上してきた。また、研究開発投資を強化し、新薬、ブロックバスターを生み出してきた。しかし、海外企業と比較すると、規模の格差は広がっており、また、収益性の面においても、依然として海外企業を下回っている。さらに、研究開発投資の格差は拡大しており、その成果としての新薬数やパイプライン数についても大きな差があることが明らかとなった。