治験参加患者を対象とした意識調査
小林 真一(聖マリアンナ医科大学薬理学教授治験管理室室長)
柏熊 留里子(聖マリアンナ医科大学病院治験管理室CRC)
古川 裕之(金沢大学医学部附属病院臨床試験管理センター助教授)
松嶋 由紀子(金沢大学医学部附属病院臨床試験管理センターCRC)
中野 重行(大分大学医学部附属病院病院長)
倉成 正恵(大分大学医学部附属病院臨床薬理センターCRC)
小野塚 修二(医薬産業政策研究所主任研究員)
安積 織衛(医薬産業政策研究所主任研究員)
成田 喜弘(医薬産業政策研究所前主任研究員)
(No.18:2004年05月発行)
治験の活性化に向けて、医療機関の治験実施体制の充実、治験のネットワーク化の推進など、様々な取り組みが進められている。しかし、このような取り組みによって、治験に参加する患者数が増え、またその結果、治験がより速やかに行われるようになったとしても、「参加して良かった」と患者が思えるような治験でなければ、治験の活性化が定着することはない。
そこで、本研究では、治験に参加した患者を対象に、異なる地域の複数の大学病院ならびにクリニックにおいて、約300例の比較的大規模なアンケート調査を実施した。その結果、治験に参加した患者は、治験に対して全体的に良い印象を持っていること、治験が一般の人々にもっと知られるべきと考えていること、新薬が速やかに患者のもとに届けられる環境を望んでいること、等が明らかとなった。一方、来院・検査スケジュールの遵守、併用薬の制限など、治験参加中には様々な負担を感じていることもわかった。本リサーチペーパーでは、本結果を基に「患者が参加しやすい治験」、「患者が参加してよかったと思える治験」など、患者の視点に立った治験推進策について考察している。