事業分野・出資構成・共同研究・特許出願からみた日本のバイオベンチャー企業の特徴 リサーチ・ネットワークの視点から
岡田 羊祐(信州大学経済学部・医薬産業政策研究所 主席研究員)
沖野 一郎(医薬産業政策研究所 主任研究員)
成田 喜弘(医薬産業政策研究所 主任研究員)
(No.10:2002年07月発行)
日本のバイオベンチャー企業を取り巻くリサーチネットワークは十分に機能していない。単に政府から資金供給のパイプを増やすだけでは、リサーチネットワークの機能は十分に高まらない。共同研究を円滑に進めるためには、人材供給や経営サポートなど、幅広い分野にわたって知的・人的インフラを整備していくことが必要である。資金・人材不足に悩まされている比較的小規模のベンチャー企業では、国内大学との共同研究を志向する傾向が強い。これは資金・人材不足を補完する役割を果たしている。しかし国内の既存企業とバイオベンチャー企業との連携は十分ではない。また日本のベンチャー企業を事業分野別にみると、ポストゲノムと呼ばれる研究領域はこれから大いに期待される分野であるものの、過去の特許出願傾向が高い領域は依然として遺伝子組換えを中心とする分野に留まっている。ただし、バイオベンチャー企業による多様な事業分野への新規参入は最近2‐3年に急速に増えつつある。