医薬品研究開発の経済分析に関するアジェンダ 開発プロセスにおける生存率及び期間に関する予備的分析
山田 武(千葉商科大学商経学部 助教授)
中西 悟志(日本福祉大学経済学部経済学科 助教授 兼医薬産業政策研究所 主席研究員)
大橋 一文(医薬産業政策研究所 主任研究員*)
丹藤 信平(医薬産業政策研究所 主任研究員)
(No.4:2000年01月発行)
医薬品産業の研究開発は多額の予算が投入されプロジェクト毎の開発費用が極めて大きく、かつ成功確率が低いにも関わらず、その生産性について経済学的な研究が殆どなされていない。本研究では市販の開発品データベースを元に、個別の開発品データを用いて開発期間および成功確率を1980-1999年まで測定し、開発品の性格(導入品/自社品、領域別、新規開発/適応拡大)および企業の性格(企業規模)、制度、規制(審査期間)の生産性に与える影響を分析した。その結果導入品は自社品よりも成功確率が高く、領域別にも相当な開発期間、成功確率の差異が存在すること、また新規開発と比較して適応拡大の成功確率は非常に高いことが検証された。これらの結果は研究開発推進の際には、開発品の性格を勘案したポートフォリオ構築が必要であることが示唆している。