Points of View がんサバイバーにおける疾病との共生

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医薬産業政策研究所 統括研究員 伊藤 稔

1.はじめに

政策研ニュース前号(No.61)において、筆者は次世代ヘルスケアの現状をヘルスケアサービス範囲の拡大の観点より俯瞰した。健康寿命延伸には、「未病・予防」「診断・治療」が重要であることは論を待たないが、疾病に罹患しても可能な限り制限を受けずに生活していく、即ち、疾病との「共生」も同様に望まれる。しかし、その取り組みが、「未病・予防」「診断・治療」より遅れている傾向が見て取れた1)。そこで、本稿においては、「共生」の取り組みが比較的先行しているがんサバイバーの状況を概観し、がんとの「共生」における製薬企業の貢献につき考察することを目的に研究を進めた。

2.がんサバイバーとは

がんサバイバーとは、"survivor"との語感よりがんに打ち克った人と解釈しがちであるが、現在は、「がんが治癒した人だけを意味するのではなく、がんの診断を受けた時から死を迎えるまでの全ての段階にある人」と定義されている2)。つまりがんサバイバーは「生存者」というより「がん経験者」という方が的確であるとされている3)。また、がんサバイバーシップとは、「診断時から命の終わりまで、がんとともに自分らしく生きること」2)を意味している。

がん治療の発展・医療従事者等の尽力により、がんサバイバーの生存率、生存数は90年代後半より増大してきた。(図1)全がん協生存率共同調査4)によると、相対5年生存率は70%に近づきつつあり、がんが不治の病ではなく慢性疾患として考えられるような時代となってきている3)

国立がん研究センターの将来推計5)では、2015年から2039年までがん罹患数は一貫して増加するとされている。(図2)

また、平成29年全国がん登録6)では、20~69歳の就労層の罹患数割合は40.6%であり、就労可能な罹患者も少なくないと予想される。(図3)

図1 相対5年生存率・生存数の推移
図2 全国がん罹患数 将来推計
図3 年齢階級別がん罹患数割合(平成29年)

3.がんサバイバーの抱える問題

がんとの共生には個人差はあるが苦痛が伴う。がんサバイバーが体験する苦痛は全人的苦痛と呼ばれ、図4のように4つに類別される2)

がんサバイバーの精神面・身体面・社会面・スピリチュアル面は互いに影響しあっており、個別の苦痛に目を向けるのではなく、4つの苦痛を総合的に理解することが求められる。

内閣府政府広報室が平成28年11月に実施したがん対策に関する世論調査7)(図5)において、政府への要望が示されているが、医療機関の整備、早期発見に並び、就労支援や相談支援、緩和ケアなど種々の全人的苦痛への対応を求めるものが含まれている。

がんサバイバーがたどる過程は、がんと診断された時より死を迎えるまでに4つの時期があるとされている2)。(図6)各々の時期において、表出する苦痛は変遷が見られるため、時期を考慮した支援が求められる。

図4 全人的苦痛
図5 がん対策に関する政府への要望(上位6項目)
図6 がんサバイバーが辿る4時期と主な支援

4.がんサバイバーへの支援

「がん患者が、がんと共生していくためには、患者本人ががんと共存していくこと及び患者と社会が協働・連携していくことが重要である」ことが、平成30年3月9日に閣議決定されたがん対策推進基本計画(第3期)において示されている8)。より具体的には、①緩和ケアの推進、②相談支援・情報支援、③就労を含めた社会課題への対策、④社会連携に基づくがん対策・がん患者支援、⑤ライフステージに応じたがん対策の5つががんとの共生に対する取り組みとして取り上げられている9)。(図7)

図7 がんとの共生

4-1.緩和ケアの推進

がんサバイバーの全人的苦痛である身体的・精神的・社会的苦痛等への対応は、総称して「緩和ケア」と呼ばれる。がん対策基本法第17条において、がん患者の療養生活の質の維持向上のために必要な施策として、「緩和ケアが診断の時から適切に提供されるようにすること」が明記されている。

緩和ケア提供の中心をなすのは、がん診療連携拠点病院(以下、拠点病院)である。各都道府県に概ね1箇所整備される都道府県拠点病院、2次医療圏に1箇所程度を目安に整備される地域拠点病院等から構成され、令和2年4月現在402箇所が指定されている10)

都道府県拠点病院には緩和ケアセンターが、地域拠点病院には緩和ケアチームが整備され、がんと診断された時からの緩和ケアが推進されている。しかし、緩和ケアの質に施設間格差がある等の指摘があり、実地調査等を通じた緩和ケアの実態や患者ニーズの把握、緩和ケア研修会による提供体制の充実の取り組みが進められつつある8)

4-2.相談支援及び情報提供

インターネット等がんに関する情報があふれる中、がんサバイバーとその家族が、身体的・精神的・社会的な悩みについて相談し、必要な情報にアクセスできる環境の整備が求められる。国立がんセンターがん対策情報センター等が企画した「がんに対する意識調査」(2018年9月)では、治療に関する情報に次いで、経済面や就労に関する情報等の社会的ニーズの不充足が散見された11)。(図8)

図8 がん罹患時に必要だったにも関わらず、手に入らなかった/入りにくかった情報

相談支援・情報提供の中心的役割を果たすのはやはり拠点病院である。拠点病院の指定要件には「がん相談支援センター」を設置する旨が示されている12)。同センターは、他院の患者や医療機関からの相談にも対応している。また、二次医療圏や都道府県域を越えた相談支援ネットワークが構築されつつある。一方で、国立がんセンターがん対策情報センターが令和2年に公表した患者体験調査報告書(平成30年度調査)13)においてがん相談支援センターの認知率は66.4%であったが、その利用率は14.4%に留まっており、相談支援を必要とするがんサバイバーが十分利用するに至っていないとの指摘がある。治療早期からの利用促進が望まれる。また、近年は相談内容が多様化しており、更なる研修の必要性も指摘されている12)

4-3.就労を含めた社会課題への対策

がんサバイバーが、生きがいを感じながら働き続けることができる社会づくりは、がんと共生していく上で不可欠である。厚生労働省の「平成28年国民生活基礎調査」を基にした特別集計では、仕事を持ちながら悪性新生物で通院している者は、36.5万人であり、平成22年の同調査と比較して約4万人増加したとされている14)。(図9)

前述の全国がん罹患数将来推計(図2)や年齢別がん罹患率(平成29年)(図3)を勘案した場合、就労可能年齢層のがんサバイバーは、今後も増加が予想される。しかしながら、前述の患者体験調査報告書(平成30年度調査)においては、がん診断時に収入のある仕事をしていた人の19.8%が退職・廃業し、54.2%が休職・休業したとの結果が示されている13)。(図10)

また、内閣府政府広報室が令和元年9月に公表した「がん対策・たばこ対策に関する世論調査」15)(図11)においては、「2週間に1度程度病院に通う必要がある場合働き続けられる環境だと思うか」との問いに対し、前回調査(平成28年11月)から改善傾向が見られるものの、依然として約6割が否定的な回答を示しており(図11)、がんサバイバーの治療と仕事の両立をサポートする仕組みの一層の充実が求められる。

図9 仕事を持ちながら悪性新生物で通院している者
図10 患者体験調査報告書(平成30年度調査)
図11 仕事と治療等の両立について

具体的な取組としては、がんサバイバーの離職防止や再就職のための就労支援の充実が特に求められている。そのためには、(1)治療と仕事を両立し易い環境、(2)拠点病院等でがんと診断された時から相談できる環境、(3)離職しても再就職について専門的に相談できる環境の各環境整備が必要とされている8)、14。

(1)治療と仕事を両立し易い環境整備としては、事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドラインやマニュアルの作成・普及や両立支援助成金の活用が挙げられる。また、両立支援コーディネーターの育成・配置による主治医・企業とのトライアングル型サポート体制の構築等も求められている14)

図12 トライアングル型サポートのイメージ

(2)拠点病院等でがんと診断された時から相談できる環境整備としては、がん相談支援センターの両立支援コーディネーターによる支援、治療と仕事両立プラン(お役立ちノート)の活用が示されている。(3)離職しても再就職について専門的に相談できる環境整備については、ハローワークの専門相談員(就職支援ナビゲーター)による支援が検討されている14)

就労支援については、主治医、企業、拠点病院等のがん相談支援センター、公共職業安定所などの複数が関与するため、これらのステークホルダーの連携推進が必要である。

※就労以外の社会的な問題について

就労以外の社会的問題としては、がんに対する「偏見」、がん治療に伴う外観(アピアランス)の変化、診療早期における生殖機能の温存、また自殺の問題等がある8)

がんに対する「偏見」に対しては、民間団体や患者団体等の協力を得ながら、国民全体の啓発につながるがんに関する正しい知識を普及させる機会を設ける取り組みが望まれる8)

外観(アピアランス)変化は、乳がん女性の苦痛度上位20位の60%を占め、副作用症状より苦痛度が高いとの指摘もあり16)、医療従事者を対象としたアピアランス支援研修等の開催が検討されている。生殖機能の温存については、的確な時期に治療選択ができる相談支援や情報提供の在り方の検討が主に進められている。

自殺の問題については、がんサバイバーの自殺実態調査を行い、効果的介入のあり方を検討する取り組みが進みつつある。また、がん相談支援センターを中心とした自殺防止セーフティーネットの必要性も指摘されている8)

4-4.社会連携に基づくがん対策・がん患者支援

がんサバイバーがいつでもどこに居ても、安心して生活し、尊厳を持って自分らしく生きることのできる社会を実現するためには、がん対策の社会連携を強化し、積極的にがんサバイバーやその家族への支援を実践することが必要である。

在宅緩和ケアは、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、今後利用ニーズの拡大が予想されるが、拠点病院等と在宅医療の提供医療機関・薬局・訪問看護ステーション等の連携体制の構築が不十分との指摘がある。また、拠点病院等と地域医療機関が連携して取り組む相談支援については、取り組みに地域間格差があるとの指摘がある8)

こうした状況に対し、切れ目のない医療・ケアの提供とその質の向上を図るため、かかりつけ医が早期から関与する体制、在宅医療との連携、患者フォローアップのあり方の検討が、地域緩和ケアネットワーク構築事業として進みつつある17)。また、拠点病院等・地域関係者等の連携を図るためには多職種連携の推進が必要であり、施設間調整を担う者の在り方や、「地域連携クリティカルパス」の在り方の見直しについても取り組まれている。

がんサバイバーや家族らのがんに関する相談については、心理、医療や生活・介護など様々な分野に関する相談をワンストップで提供する体制を支援することを目的とした地域統括相談支援センター(図13)が設置されつつある18)

図13 地域統括相談支援センターの概要

一方で、ピアサポートの養成・普及についても継続的に取り組む必要性が指摘されている。ピアサポートとは、がん体験者やその家族がピア(仲間)として体験を共有し、他の患者や家族を支援することを意味する。がんを経験し、さまざまな状況を乗り越えてきたピアサポーターや患者会による支援は重要とされており、拠点病院の指定要件には、「医療関係者と患者会等が共同で運営するサポートグループ活動や患者サロンの定期開催等の患者活動に対する支援」が含まれている12)

また、令和2年3月に公表された「民間団体によるがん患者等の相談支援に関する実態調査」19)において、調査対象として都道府県より報告された団体は349団体あり、多くの団体が活動していることが伺える。がんサバイバーが治療・ケアを受けながら安心して生活を送るためには、病院外の相談窓口も選択肢として必要であることや、民間団体と病院等の関係機関との連携がますます求められること等が示された。

4-5.ライフステージに応じたがん対策

がんによって、個々のライフステージ毎に異なる身体的、精神的、社会的問題が生じることから、小児・AYA世代(思春期・若年成人)や高齢者では、ライフステージに応じたがん対策が必要である。

小児・AYA世代では、治療による身体的・精神的苦痛を伴いながら学業を継続するケースがある。しかし、そのサポート体制は、必ずしも十分なものではなく、特に、高校教育の段階においては、取り組みが遅れていることが指摘されている。このため、小児・AYA世代のがんサバイバーが治療を受けながら学業を継続できるよう、入院中・療養中の教育支援、退院後の学校・地域での受入れ体制の整備等の教育環境の更なる整備が求められている8)

また、小児・AYA世代特有の事象として、晩期合併症の問題がある。晩期合併症とは、成長や時間経過に伴い、がんそのものの影響や、薬物療法・放射線治療などの影響によって生じる合併症であり、成長発達の異常、中枢神経系の異常、臓器異常、二次がん等が発現する。治療終了後何十年も経過してから症状がでることもある20)。小児・AYA世代は、晩期合併症等により就職困難な場合があり、就労支援に当たっては、成人とニーズ・課題が異なることを踏まえ、医療従事者間の連携のみならず、ハローワークを含む就労支援の関係機関や患者団体との連携を強化する必要が指摘されている8)

高齢がんサバイバーでは、入院を機に認知症と診断される場合や、既往の認知症の症状が悪化する場合がある。がん医療における意思決定においては、一定の基準が必要と考えられるが、現状そのような基準は定められていない。今後、医療機関・介護施設が連携し、高齢がんサバイバーや家族の意思に沿った形での療養生活を支えるための方策を検討する事が求められる。また、高齢がんサバイバーの意思決定支援に関する診療ガイドラインを策定・普及させることも必要とされている8)

5.「がんとの共生」における製薬企業の貢献に関する考察

がんサバイバーの状況を俯瞰してきたが、「がんとの共生」段階に重点を置き、製薬企業の貢献について考察してみたい。

がん体験者の悩みや負担等に関する実態調査(静岡県立静岡がんセンター)21)では、がんによる症状や治療に伴う副作用・後遺症に関する悩みのうち、薬物療法に関連した悩みの割合が、顕著に増加しており(2003年:19.2%→2013年:44.3%)、特に脱毛、末梢神経障害、食欲不振・味覚変化、外観変化(皮膚・爪の症状)などが増加する一方、吐き気は減少していることが示されている。また、近年上市された免疫チェックポイント阻害剤では、自己免疫疾患様の特有の免疫関連有害事情(irAE:immune-related Adverse Events)が出現することが報告されている。多彩な形で発現し、発現時期を予測することが難しく、これまでのがん薬物療法の副作用とは異なる管理が必要とされている22)

がんそのものによる症状やがん治療に伴う副作用・合併症・後遺症による症状を軽減させるための予防、治療及びケアは「支持療法」と総称される。がん治療の副作用に悩む患者が増加する一方、支持療法の研究開発は十分でなく、支持療法に関する診療ガイドラインも少なく、標準的治療が確立していない状況にあるとの指摘がある8)

医療従事者の努力により、経験的対処としての支持療法は進歩しつつあるが、科学的エビデンスの集積はまだ十分ではない段階にあると思われる。この背景には、副作用の重さは数値化が困難でありエビデンス取得が難しいとの事情がある23)。がんサバイバーのQOL向上には、この状況を踏まえて研究を推進し、適切な診療を可能にする取り組みが求められる。製薬企業も支持療法のエビデンス確立のための臨床研究・臨床試験の実施や研究支援等での貢献が望ましい。また、将来的には、より安全性に優れた抗がん剤の開発も期待される。

「がんとの共生」に対する製薬企業の貢献を考察した場合、より安全性に優れた治療薬開発や支持療法のエビデンス確立への貢献が一義的に重要であると思われるが、がんと共生していくがんサバイバーの社会的苦痛への貢献も期待される。図8でがんサバイバーが罹患時に必要だったにも関わらず手に入らなかった/入りにくかった情報を提示したが、就労や経済的な支援に関する情報ニーズが比較的大きかった。製薬企業は各社のホームページにおいて患者向けの情報提供を行っている。抗がん剤を販売している製薬企業の患者向け情報提供の状況を調査した。(図14)

図14 製薬企業の患者向けがん関連情報提供の状況

結果として、がん種別の疾患・治療情報や支持療法情報に比し、経済的相談支援情報や就労支援情報については掲載が少ない傾向が見て取れた。患者向け情報発信の在り方は各社のポリシーに依拠するが、がんサバイバーの情報ニーズを勘案した情報提供はより望ましい姿と思われる。

情報といった観点から、がんサバイバーのがんとの共生を考慮した場合、モバイルアプリケーション(以下:アプリ)の動向は注目に値する。2020年11月18日に第一三共株式会社は、国内初の薬事承認を取得した治療用アプリ(対象疾患:ニコチン依存症)を開発した株式会社CureAppと、「がん治療を支援するモバイルアプリケーションの共同開発契約を締結した」旨をプレスリリースした。がん薬物治療が外来診療で行われるケースが増えている近年の状況を鑑み、病院外における倦怠感や疼痛等のがん周辺症状や薬物治療による副作用の適切な管理が重要との認識の基、患者QOL向上に寄与するアプリを共同開発する旨が示された。本アプリは医療機器承認取得を目指すものである24)。国内のがん関連アプリは、図15の如く種々のものが既に存在し、医療者とのコミュニケーション補助等を目的に症状を記録するものや、副作用モニタリングに着目したものもあるが、いずれも無料で提供されている。そうした中、医療機器承認取得を目指す第一三共株式会社の動きは、従来と一線を画するものであり、今後の動向が注目される。

図15 国内で既提供のがん関連アプリ

前述の如く、がん関連の患者団体は多数が存在する。がんサバイバーの求めるニーズや悩みを理解することは製薬企業にとっても必要であり、患者団体との協働(交流、支援から共有の課題解決を目指す活動まで、幅広い範囲を意味する)の機会が増えてきている。こうした状況を踏まえ、日本製薬工業協会は、「患者団体との協働に関するガイドライン」25)、「企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン」26)を策定・公開している。患者団体との協働は、適切に実施されれば、患者、製薬企業の両者にとって意味が大きい。今後も患者団体との適切な協働が進展することに期待したい。

製薬会社も社内にがんサバイバーを抱えることはあり得る事象である。1企業として、治療状況等の情報を踏まえた上で、就業上の措置を講ずることが重要である。社内がんサバイバーが自身の治療状況・生活環境・勤務情報等を整理することは難しい場合があり、寄り添った相談支援を充実させていくことが求められる。内閣府政府広報室が平成28年11月に実施したがん対策に関する世論調査7)では、働く意欲のあるがん患者が働き続けるために必要な取り組みとして、「通院のために短時間勤務が活用できること」、「1時間単位の休暇や長期の休暇が取れるなど柔軟な休暇制度」「在宅勤務を取り入れること」等が上位に挙がっており、柔軟な勤務制度や休暇制度の導入が必要である。また、社員研修等により理解を深め、がんサバイバーが働きやすい社内風土作りも視野に入れるべきと思われる。こうした取り組みの重要性は製薬企業にとっても何ら変わりはない。社会的モデルと成り得るような就労支援体制の社内整備が望まれる。

※「がんとの共生」における製薬企業の貢献

6.まとめ

がんサバイバーの俯瞰を通じ、「がんとの共生」実現のためには、患者が置かれた状況やニーズの理解、理解に基づく支援体制の構築、多職種連携による支援の実施、連携を可能にする調整機能が必要と思われた。また、製薬企業の貢献については前述の5つが主に考えられると思われた。

健康寿命延伸を目的の一つとする次世代ヘルスケアでは、「疾病との共生」の視点は大変重要である。がんに限らずどのような疾患に罹患しても、生きがいを持って自分らしく生きていけることは、全ての患者の願いと思われる。他の疾病についても研究を進めることで、「疾病との共生」における製薬企業の貢献について考えていく必要を感じた。

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