医薬品評価委員会 2023-53 eConsent利用におけるSOP改定について

関連分類:SOP

初回公開年月:2024年03月

質問

 3月30日付で公表された厚生労働省のガイダンス(治験および製造販売後臨床試験における電磁的方法を用いた説明および同意に関する留意点)では、「対面と同等の説明や質疑応答が行われることを前提に、電磁的方法を用いた説明・同意取得は可能」と明記。遠隔で行う場合の本人確認、電子署名を行う際の当人認証、説明・同意文書の交付などについて臨床試験を行う企業や医療機関が留意すべき点が示されました。

 医療機関でeConsentを利用するにあたり、SOPの改訂が必要になると考えます。医療機関において、SOP(治験に係る標準業務手順書)の「 電磁的記録による治験手続き標準業務手順書」では同意文書は適応外とされていることから、アップデートすべき内容についてご教授いただけませんでしょうか。

 

製薬協見解

 「 電磁的記録による治験手続き標準業務手順書」は日本製薬工業協会作成の「治験手続きの電磁化における標準業務手順書(第1版:2015年1月8日)」(以下、2015年版電磁化SOP)を意図されていることを前提に回答致します。

 2015年版電磁化SOPでは、治験関連文書を「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号,以下「GCP省令」)に基づき治験依頼者、実施医療機関の長、治験責任医師並びに治験審査委員会間で交付、受領される文書」と定義しています。また、適応範囲は、「3.2 本手順書の適応となる治験関連文書」に(1)「統一書式通知」で規定される書式1~18及び参考書式1~2、(2)統一書式に添付される資料(同意・説明文書)、としています。そのため、治験依頼者による情報(説明・同意文書案)の提供~治験責任医師による説明・同意文書作成~IRBへの説明・同意文書提出までは適応範囲に含まれますが、署名等が求められる文書(署名済みの同意書)は適応範囲に含まれていません。加えて、2015年版電磁化SOPは主にe-mail/電磁的記録を想定した手順であるため、eConsentを利用するにあたり、以下の観点でのアップデートが必要になると考えます。

① 文書を電磁的に取り扱うための手順(治験クラウドシステムの導入・管理体制・教育・アカウント)
② 電子署名システムの要件・管理体制・教育・アカウント管理体制
③ 作成・受領・交付・保存の手順
④ 電磁的記録の保管(バックアップ及びリカバリー・移行又は退避・破棄)

 その他、2015年版電磁化SOPの適応に含まれない内容(IRB審議資料の特定、患者への説明と同意、患者への交付、本人確認手順等)は、別途医療機関の該当するSOPに規定した上でeConsentを利用する必要があると考えます。厚生労働省のガイダンス(治験および製造販売後臨床試験における電磁的方法を用いた説明および同意に関する留意点)やe-Consentシステムのサービスプロバイダーのコンサルテーションなども踏まえて、該当するSOP等を適切にアップデートされることをお勧めします。
 

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