医薬品評価委員会 2021-71 ePROデータの帰属性

関連分類:その他

初回公開年月:2022年07月

質問

有効性評価eCOAの一部にePROが含まれる場合の、ePROデータの帰属性についての質問です。治験の有効性評価にeCOAを使用しますが、評価項目に被験者自己評価(PRO)があるため、一部はePROに該当します。当該有効性評価は、Visit診療時にタブレットを使用し、治験責任(分担)医師のアカウントで実施(ログインしたタブレットを被験者に渡し、PROを実施してもらいます。この際、被験者への介入はない)されるのですが、被験者のアカウントは設定しておらず、PIN入力などもありません。
CRCもアカウントを持っていますが、有効性評価の一部すなわちデータの責任の所在(帰属性)は医師であるとの考えでCRCのアカウント使用は禁止としています。PRO実施後に、同じタブレットを使用して、そのままClinRO(医師評価)に移行して、治験責任(分担)医師は有効性評価を実施します。

PROに入力するのが被験者本人であるか(本人性確認)については、ClinRO実施の場にいるのが被験者本人であるかを確認・保証するのと同じことであり、有効性評価者すなわちデータの責任の所在である治験責任(分担)医師の元で、PRO、ClinROいずれも本人性を確認し実施されていることから、有効性評価の一部であるPROにおいてのみ、被験者のアカウント設定やPIN入力など特別な手続きは不要と考えています。ただし、被験者日誌などのePROについては、データの責任の所在である治験責任(分担)医師の元でのデータ入力ではないので、本人性確認は必要と考えます。
被験者のアカウントやPIN入力などの設定がないことで、PROデータの帰属性が充足していないことになりますでしょうか。GCP第41条第1項の原データの帰属性に抵触しますでしょうか。

製薬協見解

ご質問の内容だけでは試験デザインや入力データの位置付けまで図りかねますため、本対応の適切性については回答を控えさせていただきます。
一般的に、複数人で同一ID(今回は医師ID)を使用することは好ましくなく、少なくとも質問文の限りでは医師・被験者の両者の入力データについて、第三者がPROデータの帰属性を確認できるとは言えないと考えます。PROの実施に際しては被験者の本人確認(なりすまし防止)の手順とその手順を遵守して実施したことを第三者が検証できるよう記録を残すことが望ましいと考えます。
また、被験者の回答が医師等の他者からの解釈や影響を受けることなく直接得られること、被験者が落ち着いて適切に回答できるかなどを含め、PROデータの収集における適切な手順としていただくことが良いと考えます。 

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