医薬品評価委員会 2022-13 同意取得前の治験依頼者への患者情報の提供について

関連分類:同意の取得

初回公開年月:2022年09月

質問

プロトコルの除外基準に「該当する場合はメディカルモニターが個別に判断する」との記載があります。治験依頼者としては、メディカルモニターへの確認は同意取得前・同意取得後のどちらでもよいそうです。
施設としては、同意取得後にスクリーニング脱落となるリスクを踏まえ、患者様の治験説明時にメディカルモニターの回答が得られるよう、治験説明前に患者が特定されない程度の情報を提供しておりました。ただ、提供した情報からさらに詳細な情報を求められています(例:現在(同意取得前)の併用薬の用法用量、患者の合併症の具体的な重症度等)。
依頼者から求められている情報の1つ1つは、その情報収集に関してプロトコルに規定がありません。施設としては、プロトコルに規定のない詳細な情報を提供するのに抵抗がありますし、それ以上に、治験の同意取得前の患者情報を提供するのに抵抗があります。
このような情報提供があることは、治験説明時に詳細説明し、同意取得後に情報提供するべきでしょうか。また、プロトコルに規定のない情報提供は、どこまでGCP上可能なのでしょうか。
 

製薬協見解

以下の2点に関するご質問ととらえ、見解を示させていただきます。

1.治験依頼者へ提供される同意取得前の患者情報の考え方
 ご質問内容から、治験依頼者に提供される情報が、患者(被験者となるべき者)に使用されている薬剤や病歴の程度等、個人情報保護法第2条第3項に定める要配慮個人情報に該当する可能性があります。また、個人情報保護法においては、病歴等の要配慮個人情報を取得及び第三者に提供する場合には、原則として本人の同意を得ることが義務化されています(個人情報保護法第23条第1項)。このため、同意取得前に依頼者へ提供する情報の内容には慎重な検討が必要と考えます。今回の質問のように、メディカルモニターが個々の患者(被験者となるべき者)の情報を判断するというケースについて、要配慮個人情報の提供に該当する可能性がある場合は、患者(被験者となるべき者)本人から同意を取得後に情報提供すべきと考えます。また、同意取得前に依頼者への確認を行う場合は、特定の患者の組み入れに関する照会ではなく、治験実施計画書の解釈の確認として行うことが望ましいと考えます。

2.治験実施計画書に記載の無い事項の情報提供の考え方
 治験実施計画書に規定の無い事項の情報の収集についてですが、被験者の安全性確保は、全てにおいて優先されます。そのために、治験実施計画書への記載の有無によらず、施設・依頼者間で必要な事項の情報の収集・共有がなされるべきと考えます。またGCPガイダンス第21条第1項解説9(9)に記載があるようにモニターは治験責任医師等が適格な被験者のみを治験に組み入れていることを確認する必要があります。そのため被験者の適格性確認のため、治験実施計画書に規定されていない情報の提供をお願いすることもあるかと思いますので、その際にはご協力をお願いします。
 ただし、想定できる依頼者への情報提供項目については予め、治験実施計画書に既定し、説明文書に含めることが望ましいと考えます。
 

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