医薬品評価委員会 2008-04 複数の医療機関が共同で設置する治験審査委員会 - 設置者の構成の変更

関連分類:治験審査委員会

初回公開年月:2008年08月

質問

治験審査委員会の背景

  • A病院長、B病院長及びC病院長(3施設とも中規模施設)が共同で設置した治験審査委員会
  • 名称はD治験審査委員会
  • 治験審査委員会の所在地がSMOの住所になっている(事務局もSMO内に設置している)
  • 近隣の病院から治験審査の依頼を受け、毎月20試験ほどの案件について審査している

下記のように治験審査委員会の形態を変更することは可能でしょうか。また、可能な場合には、どのような手順を踏むことが望ましいのか教えて下さい。

  1. 1.
    A病院長がA病院内に別途治験審査委員会を設置したいと申し出た場合、B病院長及びC病院長のみでD治験審査員会を存続させられるか?
  2. 2.
    B病院長及びC病院長の2名がD治験審査委員会の設置者を辞めたいと申し出た場合、A病院長のみでD治験審査委員会を存続させられるか?この場合名称(所在地も)を変更できるか?

その他、治験中に調査審議を行っていたIRBを他のIRBに移行した例があればご教授頂きたく存じます。

製薬協見解

ご質問の1.のケースではB及びC病院長が共同で設置する治験審査委員会として、2.のケースでは(共同設置されたD治験審査委員会を閉会し、)新たにA病院長単独による治験審査委員会を設置して、移行させることは可能と考えられます。治験審査委員会の設置者の変更に伴う手続きとしては、以下のようなものが考えられます。

  • 治験審査委員会の設置記録の改訂(GCP第27条)
  • 治験審査委員会の手順書の改訂(GCP第28条)
  • 治験審査委員会委員の再選任(GCP第28条)
  • 治験審査委員会事務局の再選任(GCP第28条)
  • 説明文書中の治験審査委員会に関する記載の変更(GCP第51条)
  • 審査を委託している実施医療機関との変更契約の締結や改訂された手順書及び委員名簿の提出(GCP第30条)

なお、GCPでは、治験開始から終了に至るまで同一の治験審査委員会が継続的に調査審議を行う旨が求められています(GCP第27条第1項ガイダンス2)。したがいまして、ご質問の1.、2.のいずれにおきましても、治験開始の適否についてD治験審査委員会で審査された治験については、終了まで当該治験審査委員会で審査を受ける必要があります。つまり、治験の途中からA病院長のみが設置した治験審査委員会(ケース2.を含む)に審査を委託することはできません。

ご質問のような背景での治験審査委員会の移行につきましては、事例の有無等について把握しておりません。上記は日本製薬工業協会としての見解ですが、本件は及ぼす影響が非常に大きいため、必要な対応等について規制当局に相談することをお奨めします。

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