医薬品評価委員会 2007-13 治験審査委員会成立要件における医師である委員の出席の要否

関連分類:治験審査委員会

初回公開年月:2008年01月
改訂公開年月:2012年03月

質問

ある実施医療機関において施設SOPに則り会議の成立を宣誓し治験審査委員会を開催しました。審議案件は、

  1. プロトコル等軽微な変更
  2. 安全性報告に関する審議

    • 海外での安全性情報の追加報告2件(既に前IRBにて承認済み)
    • 海外での安全性情報の取り下げ報告1件
    • 国内での安全性情報の新規報告2件(薬剤の作用に伴う想定できる範疇の事象)

当審査委員会の構成メンバーは、医師3名(外部)、薬剤師1名、看護師1名、事務職他3名(1名外部)である。その内出席者は、医師0名(急遽欠席)、薬剤師1名、看護師1名、事務職他3名の計5名。

審議案件は治験責任医師と担当モニター両名により行われ、急な医師欠席であったがSOP並びにGCPから判断し会議の成立は妥当であるとの事より会議開催となった。

治験依頼者の見解
不成立(事由:安全性報告に関する審議であるにも関わらず、医師不在下での成立は認められない
実施医療機関の見解
成立
  1. GCP並びにSOPの観点より会の成立は妥当である。
  2. 自然科学系の専門家2名(薬剤師、看護師)の立会いは安全性の審議上不成立と断定するには委員の背景等検討せず断定するのは疑問である。職名のみでの成立、不成立の可否判断は、逆に不当である。
  3. 医師不在下である点より自然科学系の専門家並びにその他出席委員と治験責任医師との質疑応答を踏まえての審議であり、医師不在下であっても安全性の報告審議に関し不成立と断定するのはややオーバークオリティの感もあるのではないか。
質問者の見解
成立(但し要請事項付き:極力医師在席下での審議を原則とし欲しい)
  1. 施設選定時にSOPも含め判断しているので、不成立として断定するのは不当にあたる。
  2. 安全性報告に関し、医師が居る事(特に臨床医)が最良であるが、今回の場合自然科学系の専門家と治験責任医師間で質疑応答がなされており、不成立と断定するのはややオーバークオリティではないか。
  3. 安全性報告内容の点よりもまた、集積情報での審議提出という点から判断しても、2.の状況下で承認された事項を不成立と断定するのはややオーバークオリティではないか。

製薬協見解

治験審査委員会の構成については、GCP第28条第1項ガイダンス1において、「治験審査委員会は、治験について倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から審議及び評価するのに必要な資格及び経験を、委員会全体として保持できる適切な数の委員により構成するものとし、次に掲げる条件をすべて満たしていること」と規定されています。

ご質問の背景としまして、治験審査委員会委員として指名されていました3名の医師が全て欠席され、開催及び審議されたとのことですが、このような場合、「治験審査委員会の運営の不備(治験の継続の適否の審議及び採決に医師が参加していなかったこと等)」とPMDAに判断された例があります。

したがいまして、次回の治験審査委員会にて、今回の審議結果に対する再審議を行われることをお勧めいたします。

なお、ご質問中に「審議案件は治験責任医師と担当モニター両名により行われ」、また、「自然科学系の専門家並びにその他出席委員と治験責任医師との質疑応答を踏まえての審議」とのご記載がありますが、治験責任医師はあくまで情報を提供する立場であり、審議及び採決には参加できない(GCP第29条第1項ガイダンス6)ことにご留意下さい。

見解改訂理由

「医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について」の改訂(平成23年10月24日)に伴い、GCP第28条第1項ガイダンス1の解説を変更しました。また、公開されている過去のGCP実地調査の結果より、一部説明を変更しました。

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