医薬品評価委員会 2022-47 重篤な有害事象に関する治験固有の取り扱い

関連分類:副作用等報告

初回公開年月:2023年04月

質問

ある治験の治験実施計画書の規定において、特定の評価項目イベント、例えば心筋梗塞や心不全による入院は有害事象及び重篤な有害事象とは見なさず、eCRFに評価項目のイベントとして入力し、緊急報告の対象としない旨規定されております。

一方、当院のSOPでは、治験責任医師は治験実施中に重篤な有害事象発生が発生した場合は、速やかに実施医療機関の長及び治験依頼者に報告することが規定されておりますが、評価項目イベントが有害事象及び重篤な有害事象とは見なさないこととする事項が治験実施計画書で規定されているものに該当する場合の扱いについては明記されていません。

もし評価項目イベントの入院(心筋梗塞や心不全による入院)が発生した場合、SOPに詳細な記載が無くとも治験実施計画書に従い、治験責任医師は実施医療機関の長及び治験依頼者に重篤な有害事象の発生としては報告しない対応で問題ないでしょうか?
当院では、法施行規則第273条を参考に、治療に関する入院があれば、例え治験実施計画書に規定されていても安全性報告を考慮し、実施医療機関の長や治験審査委員会に報告することが望ましいとの意見があり、上記のようなイベントがあっても治験責任医師は実施医療機関の長へ 重篤な有害事象 として報告し、治験審査委員会が審査している現状がありました。
GCP第1条ガイダンス2にありますとおり、治験は治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施することが原則となっています。SOPに記載がない事項でも、治験実施計画書に従い、本来、重篤な有害事象発生として扱うようなイベントでも重篤な有害事象として取り扱わなくても問題がないでしょうか。
 

製薬協見解

 ご指摘のとおり、治験は治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施する必要があります(GCP第1条ガイダンス2(6))。また、治験責任医師は、治験実施計画書及び治験薬概要書等の文書において緊急の報告が不要であると規定されている場合を除き、すべての重篤な有害事象を治験依頼者に直ちに報告しなければなりません(GCP第48条第2項/第3項ガイダンス3)。

ご質問の事例においては、特定の評価項目イベントが重篤な有害事象に該当しない旨治験実施計画書に規定されているとのことですので、当該イベントは有害事象として取り扱う必要はなく、治験依頼者および実施医療機関の長への報告は必要ありません。ただし、当該イベントの発現状況の把握が、治験の継続の適否を判断するために必要であると実施医療機関の長が判断する場合は、治験責任医師が実施医療機関の長へ報告し治験審査委員会で審査することで良いと考えます(GCP第31条第2項ガイダンス3)。

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