医薬品評価委員会 2019-58 電話と郵送による治験継続参加に関する同意取得

関連分類:同意の取得

初回公開年月:2020年05月

質問

安全性情報の追加事項に対して口頭同意取得、文書同意取得を予定しています。該当治験は、来院間隔が比較的長く(約3か月)治験審査委員会の承認後、文書同意を取得するまでに1か月以上を要するケースがあります。そこで電話による口頭同意、郵送による文書同意の指示を受けました。

電話による口頭同意は、来院間隔があり安全性に関わる情報を提供せず治験薬の継続をすることは、被験者へ不利益となりかねず必要だと認識します。しかし、郵送による文書同意については、GCP上は明らかな違反と考える事項は確認できないものの、いくつかの疑問を持ち相談させていただきます。

郵送文書同意を行う場合

  1. 1)
    説明するタイミングは、文書が到着した後に再度電話にて説明を行うべきでしょうか?
  2. 2)
    同意日、説明日及び交付日は具体的にいつになるのでしょうか?
  3. 3)
    記載された説明文書は、被験者により返送されることが前提という認識でしょうか?又は、署名済み同意文書のみが返送されることになるのでしょうか?
  4. 4)
    GCP上郵送同意が問題ないとされていますが、医学的、又は医療法などから問題はないでしょうか?
  5. 5)
    被験者が通院による説明を求めた場合、治験依頼者に負担軽減費の支払いを求めることはできないのでしょうか?

今回の被験者さんは遠方の方ではなく、一般的に当院に通院する範囲の距離の方と認識下さい。日本の医療現場との乖離を感じ相談させていただきました。

製薬協見解

治験119過去の見解2018-16「電話による代諾者へのインフォームドコンセント」で記載しましたように、インフォームドコンセントは実施医療機関にて対面により行うことが前提であると考えます。治験継続参加の同意取得を安易に一律で郵送で実施するべきではなく、次の来院時で事足りるか、緊急に被験者と面談する必要があるのか等来院による同意取得の必要性について、被験者に伝える情報の重要性、緊急性及び内容の複雑性を基に判断する必要があると思われます(過去の見解 2016-53「再同意取得のタイミング(その3)」)。また、説明文書・同意文書を郵送する場合においても、対面・電話等での口頭による説明なしに同意を取得するような方法は問題であると考えます。

ご質問のケースを電話と郵送の併用で行われるとの前提の下で見解をお示ししますが、このようなケースでの一般的な方法はありませんので、詳細は治験依頼者と協議下さい。

  1. 1)
    対面時と同様、説明文書を両者が手元に置いて、口頭で説明する必要があります。
  2. 2)
    説明日、同意日及び交付日は、それぞれ、説明文書により治験責任医師等から被験者に説明がなされた日、同意文書に被験者及び治験責任医師等が署名した日、署名済み同意文書の写しが被験者に送付された日又は被験者の手に渡った日となります。なお、同意文書には、被験者及び治験責任医師等が実際に各自署名した日を記載する必要があります。対面で説明が行われていませんので、両者の日に違いが生じる可能性がありますので、このようなインフォームドコンセントのプロセスを診療録等に詳細に記録する必要があります。
  3. 3)
    被験者が署名の上で、返送することで問題ないと思います。
  4. 4)
    対面でないことを懸念されているようでしたら、医療法では対面診療を原則としているだけで同意取得のための説明までは規定されていないと考えます。どの条項に抵触される可能性があると危惧されているのかを具体的にご教示いただけるのであれば再度検討させていただきます。
  5. 5)
    被験者負担軽減費の支払い基準については、各社による考え方がありますので、治験119としては回答を差し控えさせていただいています。

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