医薬品評価委員会 2019-56 離婚経験のある未成年被験者からの同意取得

関連分類:同意の取得

初回公開年月:2020年03月

質問

現行の民法では、成年年齢は20歳ですが、未成年者が結婚したときは、20歳未満であっても結婚と同時に成年に達したものとみなすと規定されています(第753条婚姻による成年擬制)。しかし、2022年4月1日から施行される改正民法では、成年年齢が18歳へと変わるとともに、この「婚姻による成年擬制」の規定はなくなります。

そこで、改正民法施行日直前に16歳で結婚して、施行直後に17歳で離婚した女性から17歳の間に同意取得する際、民法を持ち込んで、現在の通説である「離婚後も成年擬制は消滅しない」に則り、初回同意時、及び治験中の説明文書改訂時のいわゆる「再同意取得時」を対応すればいいでしょうか?

  1. 1)
    「代諾者」はずっといらないとすればよいのか。
  2. 2)
    被験者のあらゆる人権を尊重して、婚姻歴の有無に関係なく「代諾者」の文書同意も必ず取得しても差し支えないのか。
  3. 3)
    SOPにあらかじめ、「婚姻歴の有無に関係なく18歳未満の者から同意取得の際は代諾者からも文書同意を取得する」旨の定めをしておいても差し支えないか。

どのように対応するのが最善策かお教え下さい。

製薬協見解

改正民法施行(2022年4月)前において、例えば16歳の女性が結婚し、さらに離婚したとしても、現行の民法第753条(婚姻による成年擬制)より、当該女性は成年とみなされます。法改正施行前に成年とみなされた場合は、改正民法(平成30年法律第59号)附則第2条第3項(成年に関する経過措置)により、法改正施行後も引き続き成年とみなされます。

したがいまして、治験参加の同意及び治験継続参加の同意(再同意)は、被験者本人に説明を理解できる能力があれば、被験者本人のみから取得することで問題ないと思われます。被験者本人の同意のみで問題ないことを説明することができるよう、背景及び経緯を記録しておくことが重要であると思われます。

なお、ご質問のSOPの規定ですが、法律上成年として認められている以上、このような方々の権利は尊重されるべきですので、一律に「代諾者からも同意を取得する」と規定する必要性については院内でよく検討すべきものと考えます。

見解改訂理由

被験者本人に同意の能力があることの記載を追加しました。

このページをシェア

TOP