医薬品評価委員会 2017-11 治験協力者の範囲

関連分類:その他

初回公開年月:2017年07月
改訂公開年月:2021年03月

質問

質問1

グローバル試験のデータを用いた本邦での承認申請の際には、J-GCPだけでなく、参加しているすべての国の規制に従う義務があるのでしょうか?

質問2

治験協力者の定義が明確につかめておりません。例えば治験の検査を行うスタッフ、治験薬を管理するスタッフは治験協力者にあたらないのでしょうか?

質問3

グローバル試験を実施する際、Delegation logの提出を求められますが、掲載されているメンバーは、J-GCPにおいては治験協力者リストに載せる必要のないようなメンバー(治験薬管理者等)についても、当該治験に係る治験審査委員会の審議、採決に参加することは不可ということでしょうか?

製薬協見解

回答1

日本において医薬品製造販売承認申請を行う場合、日本の法令を遵守することでよく、他の国の規制をクリアする必要はありません(GCP第3条参照)。

一方で、国際共同治験を含め日本で実施された治験の成績は、他の国での承認申請にも用いられる可能性があります。一般的に、ICH-GCPを遵守して実施された治験であれば、多くの国の審査基準をクリアすることができるため、ICH-GCPに則って治験を実施することが多くなっています。さらに、このような治験では、他の国特有の規制(例:米国の規制であるFinancial Disclosure Form等)に対応することも必要となります。

回答2

治験協力者とは、GCP第2条第18項において、「実施医療機関において、治験責任医師又は治験分担医師の指導の下にこれらの者の治験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者」と定義づけられており、治験責任医師によって選任され実施医療機関の長の了承を受けるものとされております。

また、GCPでは「治験協力者」の他に「治験薬管理者」という役割が規定されており、こちらは実施医療機関の長から選任されるものです。この両者は別の役割を担うものであり、「治験薬管理者」は「治験協力者」に含まれません。

通常、治験の検査を行うスタッフは治験協力者に該当しますが、治験特有の特別な手順や手技が定められているような業務を担当するか否かも考慮して選任する必要があります。過去の見解2011-02を参照してください。

回答3

原則としてDelegation Logに記載された者は、治験関連の重要な業務を分担することから、当該治験の治験審査委員会での審議・採決に参加することは、審査の独立性を保つために適切でないと考えます。個々のケースの対応については、治験依頼者とも相談の上決定することをお薦めします。ただし、治験薬管理者につきましては、当該治験の審議・採決に参加しても問題ないと考えます(過去の見解2009-40参照)。

Delegation Logに関する補足

ICH-GCPでは「治験協力者」や「治験薬管理者」の定義はなく、治験のデータや被験者の安全に係るような重要な業務を分担する者についてリスト(Delegation Log)を作成することが規定されています。

一方、日本のGCPで規定する「治験協力者」も治験に関わる重要な業務を分担する者ですので、「治験分担医師・治験協力者リスト」に記載されるべき役割の範囲はICH-GCPと日本のGCPに違いはありません(ただし、回答2のとおり、治験薬管理者は治験協力者に含まれないため、治験協力者リストに治験薬管理の役割を持つ者が記載されない点はDelegation Logと異なります)。

しかし、一部の実施医療機関では、「治験分担医師・治験協力者リスト」に治験分担医師と治験コーディネーターのみを記載する運用としており、重要な業務の解釈においてICH-GCPと比較して運用上の違いが見られております。また、当該スタッフの責任範囲を詳細に記載しない場合(「治験業務補助全般」の簡略記載)もあるため、治験依頼者によっては、Delegation Logの作成を実施医療機関に別途依頼しています。

見解改訂理由

GCPガイダンスの改正(令和2年8月31日 薬生薬審発0831第15号)に伴い、参照する条項を変更しました。

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