医薬品評価委員会 2015-39 治験途中に同意能力を失った被験者における治験継続の可否

関連分類:同意の取得

初回公開年月:2016年02月

質問

被験者本人から同意を取得して実施する脳腫瘍の治験で、治験途中に認知機能が低下し、一時的若しくは永続的に同意取得能力を失った場合の対応について教えてください。

被験者が同意を取得した状況から説明文書などに変化がなければ、当初の同意の意思を尊重して治験継続するということは可能でしょうか。また、その様な状況で治験継続中に説明文書が改訂されて再同意が必要となった場合には治験は中止となるでしょうか。治験の途中から突然代諾者による同意で継続可能となるということも許容されないと思いますが、何か良い方法はありますでしょうか。

仮に糖尿病などの治験で、交通事故などによって一時的若しくは永続的に同意取得能力を失った場合の対応も、上記と同じ回答になるかについてもご教授いただけないでしょうか。

製薬協見解

被験者が十分な同意の能力を欠くような状態になった場合には、重篤な有害事象と判断されるものと思われます。通常の有害事象発現時と同様、安全性の確保に問題がなく、当該被験者に生じると予想される利益および不利益を総合的に勘案の上で

先ずは治験責任医師が治験継続の可否を判断することが重要です。

その上で治験の継続が妥当と判断する場合は、「説明文書の改訂」の有無、即ち「被験者の治験参加意思に影響を与える新たな情報」の有無とは関係なく、治験の参加継続について、代諾者(被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これらに準じる者)の意向を確認し、参加継続の場合は、代諾者から同意を取得する必要があるものと考えます。また、

本対応については、治験審査委員会にて審査しておくべきと思われます。

なお、代諾者による同意の取得後、当該被験者の同意に関する能力が回復した際には、改めて被験者本人より治験継続の同意を取得することが望ましいと考えます。

これらの対応は、治験の対象疾患等の違いによって変わるものではなく、当該被験者の治療にとって最善と考えられる処置を行うべきとの判断の元、同様に行われるものと考えます。

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