医薬品評価委員会 2013-36 「法的な保護者」であることの確認

関連分類:同意の取得

初回公開年月:2013年11月
改訂公開年月:2021年03月

質問

先日、弊社が支援している治験審査委員会(IRB)において、小児を対象とする治験の初回審査が行なわれました。

その際、IRB委員から、「本治験の同意文書の代諾者の欄について、『両親以外の法的な保護者』と明記されていることから、もし両親以外の法的な保護者が署名される場合には、法的に認められた保護者であることを、何らかの公的な文書で確認する必要があるのではないか?」とのご意見を頂きました。治験に参加後、何も問題なく終了した場合はいいが、治験中に何かトラブルが発生した場合のことを考えると、口頭のみの確認ではなく、しっかりと公的な文書による確認が必要なのでは、ということでした。

治験依頼者に確認したところ、代諾者として、両親以外の法的な保護者が署名することは稀であり、前例がないため、分からないということ、また、本治験は「小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンスについて」(平成12年12月15日医薬審第1334号 厚生省医薬安全局審査管理課長通知)に従って、代諾者に「法的な保護者」という表現を用いたという回答でした。

上記ガイダンスには、「十分なインフォームドコンセントは各国の法律や規則に従って法的な保護者から得られるべきである。」とありますが、以下2点について、ご教示下さい。

質問1

日本において、「両親以外の法的な保護者」とは、GCP第2条ガイダンス14にある、「被験者とともに、又は被験者に代わって同意をすることが正当なものと認められる者であり、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これらに準じる者で、両者の生活の実質や精神的共同関係から見て、被験者の最善の利益を図りうる者」と捉えて問題ないでしょうか?

質問2

「両親以外の法的な保護者」が代諾者となる場合、公的な文書による確認は必要ないでしょうか(治験責任医師等による口頭の確認のみでよいか)

製薬協見解

質問1

「小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンスについて」及びそれに対応するICH E11ガイダンスに記載されている「法的保護者(legal guardian)」は、ICH-GCPでいう「法定代理人等(legally acceptable representative)」と同義ですが、GCP省令第2条で定義されている「代諾者」とは厳密には異なります。法的保護者及び法定代理人等は、法律上の代理権を有しています。一方、個々のケースにおいての判断には慎重さを要しますが、「両者の生活の実質や精神的共同関係から見て、被験者の最善の利益を図りうる者」であれば、必ずしも法律上の代理権を有していなくても代諾者になることはできます。

したがいまして、被験者に代わって同意の意思を表明していただく方が法律上の代理権を有している必要があるのかを、治験依頼者に確認されることをお勧めします。

なお、代諾者の範囲につきましては、過去の見解(4)及び2013-32もご参照下さい。

質問2

GCPでは、代諾者としての資格を有していることを証する公的な文書の確認までは規定していません。公的な文書による確認の要否は、各事例の状況に応じて治験責任医師又は治験分担医師が判断する内容と考えます。

見解改訂理由

GCPガイダンス(令和2年8月31日薬生薬審発0831第15号)の発出に伴い、質問文に軽微な記載整備を行いました。

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