医薬品評価委員会 2010-24 説明文書の改訂に伴う治験継続の意思確認(その2)

関連分類:同意の取得

初回公開年月:2010年08月

質問

先日、ある治験の選択・除外基準が変更となりました。それに伴い、同意説明文書に記載のある選択基準の一部を削除する事となったのですが、治験依頼者は「当該変更は安全性に関する変更ではなく、GCP第54条に該当しないので、既にエントリーされている被験者には再同意は不要」との見解です。これまでの経験や研修では、内容に係らず同意説明文書が改訂されたら再同意を得るとなっていましたので、この見解はGCP上問題がないのか教えて下さい。

そもそも、再同意が不要という程度の変更で、同意説明文書の改訂は必要だったのでしょうか。変更点を被験者に口頭にて説明し、同意を取得するという方法では不十分なのでしょうか。併せてご教示頂けますでしょうか。

また、新たに同意を取得する場合、口頭での説明が必要となる期間はいつからでしょうか。「速やかに」との記載はありますが、実際どこを起点とする事が望ましいのでしょうか。

  1. A)
    治験依頼者より情報を提供した日(治験実施計画書改訂の説明実施日)
  2. B)
    合意日
  3. C)
    同意説明文書改訂版の治験依頼者案提供日
  4. D)
    治験責任医師による同意説明文書改訂版の作成日

製薬協見解

GCP第54条に規定されていますように、治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認める情報を入手した場合、治験責任医師は、直ちに当該情報を被験者に提供し、これを文書により記録するとともに、被験者が治験に継続して参加するかどうかを確認する必要があります。これは、入手した情報を「被験者の意思に影響を与えるものである」と治験責任医師が判断した時点から行う必要があります。さらに、同条第2項に規定されていますように、治験責任医師は、この情報に基づいた説明文書の改訂の必要性について検討し、その必要があると判断された場合、速やかに説明文書を改訂していただくことになります。

一方、ご質問の「説明文書に記載されている選択・除外基準の記載変更」が、治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるような変更でないということでしたら、GCP第54条に基づく改訂という位置づけではなく、むしろ、最新の治験実施計画書(治験の方法)に基づき説明文書の内容を更新するための改訂と考えられます。そして、このような変更内容について、被験者の再同意が必要か否かにつきましては、治験責任医師のご判断で問題ないと考えます。

なお、新たな被験者の同意取得(選択・除外基準変更後の新規エントリー)については、今回の治験実施計画書と説明文書の変更が治験審査委員会で承認され、実施医療機関の長による指示、決定に関する文書が発行された後に、改訂説明文書を用いて行うことが必要となります。

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