医薬品評価委員会 2009-44 実施医療機関の長が役員となっている一般社団法人等の治験審査委員会への審査依頼

関連分類:治験審査委員会

初回公開年月:2010年03月
改訂公開年月:2012年03月

質問

背景

一般財団法人Aの元に、2病院(B病院、C病院)があり、B病院で治験を依頼したいと考えています。一般財団法人Aは治験審査委員会を設置しており、B病院及びC病院で実施する治験を審査しています。

  • B病院、C病院はそれぞれ自施設の治験審査委員会を有していない
  • B病院は大規模な病院である
  • B病院の病院長Dが、一般財団法人Aの役員(副理事長)である

質問1

上記の場合、GCP第27条第2項運用通知 5(1)に抵触していると思われますが、B病院で実施する治験の審査を依頼することは問題ないでしょうか?

質問2

B病院で治験を実施するための具体的対応案は?

質問3

GCP第27条第2項運用通知 5(1)では、「改正前※のGCP省令第27条第1項の規定により、当該実施医機関に治験審査委員会を設置することができないと判断した場合であって、当該実施医療機関の長が役員となっている一般社団法人又は一般財団法人(一般社団法人等)、特定非営利活動法人又は学会が設置する治験審査委員会に調査審議を行わせる場合には、この限りではない」とあります。

また、改正前※のGCP第27条第1項では、当該実施医機関に治験審査委員会を設置することができない理由として、以下のような事項が挙げられています。

  1. 当該実施医機関が小規模であること
  2. 医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者の確保が困難であること
  3. その他の事由

これらの規定は、今回のケースを判断する上でどのように解釈すればいいでしょうか?

  • 医薬品の臨床試験の実施に関する省令の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第24号)

製薬協見解

質問1

GCP第27条第1項第2号から第4号までに掲げる治験審査委員会につきましては、同条第2項にその設置者の要件が規定されています。この第2項6)「その他治験審査委員会の業務の公正かつ適正な遂行を損なうおそれがないこと。」に対しまして、GCP第27条第2項ガイダンス5(1)にて「治験審査委員会の設置者の役員に、当該治験審査委員会に調査審議の依頼を行う実施医療機関の長又は・・・(中略)・・・を含んでいないこと。」と規定されています。したがいまして、ご質問のケースでは、B病院で実施する治験の審査を一般財団法人Aが設置しました治験審査委員会に依頼することはできません。ただし一般財団法人Aの治験審査委員会の設置時期が平成20年3月31日以前であり、かつB病院に治験審査委員会を設置できないことを十分説明できる事由がありましたら、同治験審査委員会に依頼することが可能です。

質問2

実施医療機関の長はGCPに従って適切な治験審査委員会を選択し、調査審議の依頼を行ってください。

質問3

「当該実施医機関が小規模であること」及び「医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者の確保が困難であること」は、治験審査委員会にて十分な調査審議を行うことができる治験審査委員会委員や事務局員を確保することが困難な実施医療機関を指しているものと考えられます。また、「その他の事由」につきましては具体的な例は以前の運用通知では説明されていませんが、例えば、治験の依頼数が少なく、実施医療機関にて治験審査委員会を継続的に開催、維持管理していくことが効率の面から難しいような医療機関などが考えられます。

見解改訂理由

「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(平成20年12月1日施行)により、用語「財団法人」を変更しました。

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