医薬品評価委員会 2009-38 治験審査委員会の設置者が委員になることの是非

関連分類:治験審査委員会

初回公開年月:2010年01月

質問

GCP第28条第1項運用通知4に「実施医療機関の長は自らが設置する治験審査委員会に出席することはできるが、委員になること並びに審議及び採決に参加してはならない。」という規定がございます。実施医療機関の長は治験審査委員会の審議結果に影響を与える可能性があるため、自ら設置する治験審査委員会の委員になってはならないと規定されていると考えますが、第27条第1項2号~8号に掲げられた治験審査委員会の設置者に関しては、自らが設置した治験審査委員会の委員となること及び審議採決に参加することは可能でしょうか。

実施医療機関が自ら設置した治験審査委員会では、病院長という立場のため、より影響力が大きいためとも考えられますが、第27条第1項2号~8号に掲げられた治験審査委員会と設置者の関係も同様であり、審査受託の契約を結ぶことで収益も発生するため、より医療機関に有利な採決を下す可能性が高いと考えられます。

製薬協見解

GCP第27条第1項第2号~第8号に掲げられた治験審査委員会の設置者が、当該委員会の委員となることには問題はないと考えます。実施医療機関の長が自ら設置する治験審査委員会の委員となることができない理由としては、「医療機関の長としての立場からの影響力が大きいこと」以外に、「自分で審議を依頼した事項を自分で審議することになるため、治験審査委員会の独立性を損なうことになるため」であると思われます。上記治験審査委員会の設置者は、審議を依頼する当事者ではありませんので、この点で実施医療機関の長と位置づけが異なります。ただし、上記治験審査委員会の設置者がある実施医療機関の長を兼任している場合には、当該医療機関で実施される治験の審査には参加することができません(GCP第29条第1項ガイダンス7)。

なお、GCP第27条第2項として、第1項第2号~第4号までに掲げる治験審査委員会を設置する者(治験審査委員会の設置者)の要件が規定されています。これら要件の中には、治験審査委員会での審議に影響を及ぼさないために必要な要件も含まれています。

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