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日本における新医薬品の承認審査期間と臨床開発期間


日本における新医薬品の承認審査期間と臨床開発期間
―2004年承認取得品目に関する調査―
日本製薬工業協会 医薬産業政策研究所 主任研究員 安積織衛 氏、川上裕 氏
リサーチペーパー・シリーズ№30
「日本における新医薬品の承認審査期間と臨床開発期間
―2004年承認取得品目に関する調査―」の解説講演(要旨)

 2005年9月13日(火)、東京・大手町にて製薬協メディアフォーラムが『日本における新医薬品の承認審査期間と臨床開発期間』をテーマに、多くのジャーナリストを迎え開催されました。本テーマは製薬協・医薬産業政策研究所が8月に発行したリサーチペーパー・シリーズ№30にまとめられており、その解説と質疑応答が行なわれました。画期的な新薬開発は長期にわたり膨大な費用を費やすということは周知されていますが、その具体像などを2004年承認取得品目に関して調査したものがこのリサーチであり、日米差などの比較など有意義なデータが展開されています。


●新薬開発環境の悪化は世界的
 承認される新薬数は日米とも減少傾向にあります。アメリカでは2003年、2004年少し上向いてはいますが、大きな傾向としては減少というデータが出ています。しかし新薬1品目を上市するのに必要な開発コストは、1995年から2000年では1200億円でしたが、2000年から2002年では1900億円と上昇しています。内訳では臨床試験の部分のコストが大幅に増えています。このデータはアメリカのものであり、世界的な新薬開発環境の悪化が示唆されています。

 日本における取り組みは2002年に医薬品産業ビジョン公表、2003年に全国治験活性化3カ年計画策定といった産業振興の取り組みが行なわれました。また承認審査の体制も1997年に医薬品機構による治験相談開始、審査センターの設立、それに伴い中央薬事審議会調査会の廃止、2004年には医薬品医療機器総合機構の設立といった効率化が進められてきました。

●調査概要と審査時間
 新薬開発環境の悪化がいわれている中、この調査では2004年の承認された新医薬品について、審査時間、臨床開発期間等のデータを収集し、新薬開発環境を期間という観点で把握したいと考えました。対象品目は部会で審議された31品目です。各企業に調査票を送付し、臨床開発期間、審査時間などを記入してもらいました。回答率は100%でした。集計は承認年ごとと申請年ごとに分け、承認年ごとの場合はある時点での総合的なパフォーマンスの指標に近いイメージになります。申請年ごとの集計・結果表示では体制の変化の影響が出やすいのが特徴です。また1996年から2003年承認品目332品目も合わせた形で比較提示しています。

 承認年ごとの審査時間(中央値)を見ますと1998年は40カ月でしたが、2004年は17.9カ月でした。通常審査品目と優先審査品目の審査時間も短く推移し以前より速やかに審査されていることがわかります。申請年ごとの審査時間では2000年以降短くはなっておりません。通常審査品目と優先審査品目も申請年ごとでみますと、優先審査品目が比較的速やかに審査されています。

●米国との審査時間の比較
 日米の優先審査品目の審査時間を承認年ごとに比較したデータでは、2001年までは日本の審査時間が長かったのですが、以後は日米の期間の差は縮まってきています。通常審査品目、優先審査品目とも、1900年代後半にはあった差が2000年代には縮まる傾向にあります。特に新有効成分という点で見てみますと、品目数の差はあるものの日米の審査時間の差は見られなくなっています。

●タイムクロックの達成状況
 審査時間は当局側の持ち時間と、申請者側の持ち時間に分けられます。当局側の持ち時間については、いわゆるタイムクロックと称する目標値が設定されていますが、1998年以降多くの品目が目標期間内に収まっています。また薬効分類別の審査時間の相違、治験相談の実施の有無での審査時間の相違はあまり認められませんでした。

●臨床開発期間は長期化の傾向
 臨床開発期間を承認年ごとにみますと長期化の傾向にあり、2004年は中央値88.8カ月で過去最長になっています。日米比較では1999年から2001年の3年間に承認された品目で比較した場合には差はあまりありません。また審査区分別では優先審査品目の臨床開発期間は通常審査品目より短いことがわかりました。既存の同種同効薬がある場合は、臨床開発期間は長くなる傾向にあり、同種同効薬が少なければ臨床開発期間は短いといえます。また薬効分類別では中枢神経用薬の臨床開発期間が他より比較的長いという結果になりました。臨床試験の数自体ですがあまり変化はありません。

 全開発期間(臨床開発期間と審査時間 <承認年ごと> )は、1998年以降は100カ月程度で推移していますが、今回の調査の結果では臨床開発期間が長期化する傾向が認められました。これは治験実施基準の厳格化に伴う業務量の増大、承認に必要な症例数の増加などが影響しているものと考えられます。 よりよい新薬を早く世の中に出すために、当局、医療関係者、製薬企業のより一層の関係強化が望まれます。


 以上が当日の解説の要旨でした。講演終了後は多くのジャーナリストとの質疑応答が活発に繰り広げられました。

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