製薬協について 製薬協について

Topics | トピックス

最新号目次へ 既刊号一覧2014年5月以降2014年3月以前 pdf
171号タイトル
トピックス画像
前へ1234次へ
「第125回 医薬品評価委員会総会」を開催
line03 line03 line03

(3)データサイエンス部会 部会長の小宮山靖氏から、「世界の育薬に貢献できる日本になるために」とと題した講演がありました。
 ドラッグ・ラグの時代、国際共同開発が広まっていった時代を経て、先駆け審査指定制度は諸外国よりも日本が先行して市販が開始される環境を作りつつあります。医薬品の販売直後から1、2年は、開発段階では検出されなかった新たなリスクの発見や、医薬品と重要な事象との因果関係の見極め、さらにはリスク集団の特定に結び付くエビデンスの積み上げを行うという安全性評価の最前線となります。日本は安全性評価の最前線に立ち、日本の後に他国で使用が開始される医薬品について、世界の育薬に貢献できる情報を発信できるような国にならないといけない。そのためには、ほぼ「日本ではどのような条件下で、何がどの程度の頻度で起こるか」しか情報を与えてこなかった使用成績調査や特定使用成績調査に強く依存した現在の安全性監視の体制を変えることが喫緊の課題となります。この課題を広く認識していただくために、日本薬剤疫学会の「よりよいPharmacovigilance Plan策定に向けての提言タスクフォース」が提言(http://www.jspe.jp/committee/020/0290pvptf/)を出しました。詳細はそちらを参照してください。

(4)PMS部会 副部会長の慶徳一浩氏から、「先駆け時代の市販後安全対策、RMPについて」と題した講演がありました。
 先駆け審査指定制度のスキームでは、承認審査期間が短いことから医薬品リスク管理計画(Risk Management Plan、RMP)の策定を含め、市販後安全対策に関するあらゆる準備を前倒しで進め、事前評価の段階で検討できるようにしておく必要があると考えます。先駆け品目は、有効性はもちろんのこと、作用機序の新規性、有害事象の発現率・コントロール性など、従来品よりも切れ味が鋭い医薬品です。治験でわかることに限界があるからこそしっかりしたRMPを策定してリスクに備え、世界に先駆けて承認されることへの責任を果たすために世界に役立つベネフィット・リスク情報を発信する必要があります。そのためには、意味のある安全性監視、リスク最小化活動を行う必要があり、開発チームのメンバーなど社内関係者との今まで以上の連携が必須となります。このような状況では、多くの会社でRMP策定の中心となっているファーマコビジランス担当者は、市販後安全対策は今までと同じで良いのかという問題意識をもつべきです。自分自身や家族が患者になったことを想定して、信頼できる市販後安全対策を行うべきです。

厚生労働省 大臣官房 審議官の森 和彦 氏
厚生労働省 大臣官房 審議官の
森 和彦 氏

第2部:特別講演

(1)厚生労働省 大臣官房 審議官の森和彦氏から、「先駆けパッケージ戦略の実現に向けて」と題した講演がありました。
 2012年に米国食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)が画期的治療指定制度(Breakthrough Therapy Designation)を開始した時には、驚きと焦りを感じたことを今もよく覚えています。
 21世紀に入って間もなく、FDAが新薬開発の世界的な効率低下を懸念して、Critical Path Initiativeを発表した時にも薬事規制当局が新薬の臨床開発を促進するためにやるべきことがあるという驚きを覚えました。さらに特別な優先審査の仕組みを設けて世界ではじめて開発される画期的治療薬の登場をFDAが全面的に応援するというのです。
 世界の中で新薬を生み出す能力と実績を有する国は限られており、日本もその一角を担っています。世界中で登場する新薬の1割強が日本発の新薬です。しかし、近年の新薬開発の成功率低下、抗体医薬を中心としたバイオ医薬品の開発の活発化といった世界的動きの中で、今後も日本が新薬開発において活躍し続け、日本の患者さんがその恩恵を速やかに受けられるようにする必要があります。
 2014年6月に厚生労働省のプロジェクトチームは「先駆けパッケージ戦略」をとりまとめ、公表しました。その背景には、このような世界的な情勢に対する薬事規制当局としての危機意識があります。特にこの戦略の中で一番の重要施策として掲げられたのが「先駆け審査指定制度」です。
 世界の先頭を切って画期的な新薬を開発するのは非常に困難な仕事ですが、薬事規制上の不確実性をできる限り少なくし、科学的に必要なデータ作成を効率的に進め、市販後も計画的にメリハリのついたデータ収集・評価を継続することによる全体的な開発の効率化・迅速化を今や世界中が競って進めています。
 先駆けパッケージ戦略は公表後間もなく英語訳も提供され、世界中の製薬業界、薬事規制当局ともに「SAKIGAKE」という呼び名を知り、強い興味を示しています。そのことは、11月にメキシコシティーで開催された薬事規制当局サミットの場においても各国の代表からの発言、質問に明確に現れていました。
 そして、ついに厚生労働省は2015年10月27日に初めて6品目を先駆け審査指定品目として選定し、公表しました。先駆け審査指定制度は、その第一歩を歩みはじめたところです。今後、指定された品目の開発が順調に進み、迅速に承認に至るとともに、さらに多くの先駆け審査指定品目の候補が世界中から日本に集まり、活発に日本で臨床開発が進められることに大きな期待を持っています。
 日本で生まれる新薬が世界の患者の希望の光となるように心から願っています。

前へ1234次へ
最新号目次へ 既刊号一覧2014年5月以降2014年3月以前

このページのトップへ