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「第27回製薬協政策セミナー」を開催
日本経済再生に向けたイノベーションの創出
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多田 正世 氏
多田 正世 氏

多田 技術的な面ではiPS細胞関連に期待しています。いわゆるセルセラピーの分野は、制度も整ってきているので積極的に取り組むべきと考えています。それ以外では、国民皆保険制度で蓄積されたビッグデータも日本が有する強みの1つだと思います。国民の健康診断も含め、病気の治療歴などを確実に把握できるソースがあるわけですから、このビッグデータを上手に全国民的なデータベースとして活用できるようにすることを考えるべきです。そうすることで、これまで続けてきた皆保険制度の意義が再認識されるのではないかとも思いますし、日本人のデータが整理されれば、新たな創薬につながる可能性も十分にあると考えています。
 もう1つは、アジアにおける日本の地位を活かすことです。アジアには非常に大きなマーケットがあります。その中で、現時点では幸いにして、医療・医薬分野については日本が非常に先進していますので、この立ち位置を有効に活用しながら産業につなげていくことができれば、それも日本の強みになると考えています。
橘川 国民皆保険制度とアジア市場は、たしかに重要なキーワードだと思います。日本のマーケット規模は今後縮小するかもしれませんが、アジアのマーケットは当面は拡大していくと予想されます。その一方で、現在の日本が抱えている少子高齢化の問題は、今後のアジア諸国の問題でもあり、韓国や中国沿岸部などではすでに日本より速いペースで少子高齢化が進んでいるともいわれます。この問題を克服するモデルを日本が最初に示すことができれば、それもアジアにおける日本の強みになると思います。菱山執行役は、日本の強みをどのように考えていますか。
菱山 創薬を手掛けられるということは、総合的に科学技術力が高いことの証しだと思います。有機合成化学が中心だった創薬にバイオ技術が導入され、今後はさらに、より最先端の科学の応用も試みられると思います。しかも、それらを担う人材がアカデミアに限らず、産業界にも多数そろっているわけですから、技術と人材を合わせた総合力で、創薬の進展を持続させられることこそ日本の大きな強みだと思います。もう1つは、多田会長も指摘した国民皆保険制度で蓄積されたデータがあることです。現在、健康・医療戦略推進本部や内閣官房の次世代医療ICT基盤協議会を中心に、健康医療データの構築と活用を巡る検討が進められています。そうしたデータを使えるようになれば、日本の総合力はさらに高まると考えています。
 AMEDは4月に発足したばかりですが、製薬業界や医学界から浮いた存在であっては、事業は成功しません。ぜひみなさんの業界の財産と考えて、活用してほしいと思います。よろしくお願いします。
橘川 それでは最後に、経団連の永里さんから本日の議論に対する感想を聞きたいと思います。
永里 ICTやビッグデータに関しては、われわれが知らないところで研究されているものもあるはずです。その中に、創薬に活用できる技術やデータもある可能性を常に念頭に置くべきだと思います。また、オープンイノベーションについては、企業が行き詰まっているからオープンイノベーションに目が向けられているわけです。しかも、そうした状況が、あらゆる業種に及んでいることを認識すべきだと思います。その中で、われわれは将来の高齢社会に向けて新しい基幹産業をつくらなければなりません。その1つとして、ライフ・バイオ分野への期待は大きく、経団連も一緒にそれを推進していきたいと考えています。日本の製薬産業の発展が世界人類への貢献にもなるだろうということを、経団連からのメッセージとして最後に申し上げたいと思います。
橘川 みなさんのお話を聞いて、製薬産業は課題はありながらも、その課題はかなり明確化されていることがわかりました。しかも、それが業界内でしっかり共有されており、さまざまな解決策も検討されているという点で、非常にダイナミックな産業だと感じました。「日本経済再生」が1つのテーマでしたが、話を進めるうちに、人類全体のために、日本が創薬を進めなければならない。そんな議論をしていることに気づかされました。ぜひ今後もよりいっそう頑張ってもらいたいと思います。本日は、興味深いお話と貴重なご意見をありがとうございました。

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