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「製薬協メディアフォーラム」を開催
テーマは「医療におけるビッグデータ:今後の展望と活用」
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3)レセプトデータの活用

大規模データベースの活用により、解析に足る十分な症例数の患者データを効率的に収集し、医薬品安全性におけるエビデンス診療ギャップ、すなわち医療の質の一面を定量化することができます。では、エビデンスに基づいてガイドラインが推奨する治療法や避けた方が良いとされている治療法が臨床現場でどの程度実施されているのでしょうか。
 骨粗鬆症の事例を挙げて説明しましょう。骨粗鬆症の発症原因として、副腎皮質ステロイド薬の使用が知られています。わが国でも、臨床研究から得られたエビデンスに基づき、「ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン」が2004年に発表されました。2011年に、複数の健康保険組合のレセプトデータベースに含まれる53万人の被保険者から条件を満たす2400人の対象者を基にこのガイドライン推奨の実施状況を解析したところ、わずか23%の医師しかガイドラインが推奨する治療法を実施していないということが明らかになりました。大規模なデータの解析によって骨粗鬆症の管理と治療が十分とはいえない現状が明らかになったといえます。
 民間の医療データベースとしては、日本医療データセンター(Japan Medical Data Center Co, Ltd、JMDC)によるものが研究に使われています。このデータベースには、複数の健康保険組合からのレセプト情報(入院、外来、調剤)が匿名化の上で名寄せ作業を経た270万人規模のデータが現時点で蓄積されています。健康保険組合からのデータによるため後期高齢者のデータは含まれていない点が限界ですが、継続的に対象集団の全数データが収集できる点は研究目的に適しているといえます。
 国のナショナル・データベース(National Data Base、NDB:レセプトと特定健診・保健指導のデータを集積させたもの)は、年間18億件のレセプトデータが蓄積され、民間データベースより圧倒的大規模ですが、使いやすさの点でまだ多くの課題があります。2014年に東京大学と京都大学にNDBのオンサイトセンターが設置されました。民間も含めた今後の活用の拡大を視野に入れて、地道なルール整備が進められているところです。
 また、厚労省は2015・16年度にデータベースを用いた戦略研究を別表のように4件採択しています(図2)。私たちもその1つとして高齢者医療の質の定量化に取り組んでいます。この課題では、NDBやJMDCなどいろいろなデータベースを使用目的やデータベースの特性に応じて使い合わせ、使い分けをします。NDBは精度が低いですが規模は大きいですし、たとえば、京大病院の院内がん登録のデータは精度が高いですが規模は小さいといえます(図3)。それぞれのテーマごとにデータベースの特徴と課題を整理していく予定です。今後2〜3年で医療ビッグデータのさまざまな基盤の整備がいろいろ進んでいくでしょう。

図2 平成27年度厚生労働科学研究 健康医療分野のデータベースを用いた戦略研究

図2 平成27年度厚生労働科学研究 健康医療分野のデータベースを用いた戦略研究
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