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アメリカのPrecision Medicine Initiative
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話しは少し飛躍しますが、「発症した後の臨床フェノタイプ」によって体系づけられた従来の「疾病」の考え方も、根底から覆られる可能性があると考えられています。オミックスなどの分子情報によって、従来1つの疾病と認識されていたものがさらに細分化されることが想定されますし、全く違う疾患だと思われていたものが、実は類似の分子ネットワークの異常という面を持ち、疾病分類では類似範疇に分類されるといったことが起きてくることも考えられます。
 また、臨床フェノタイプが発現していない状態であっても、分子ネットワークの調整不全や歪みはすでに発生していて(いわゆる「未病」状態)、そこへの介入を目指すことで、病気と治療の概念も変わってくることが推測されます。すなわち、分子レベルの異常や変化を早期に検知して、正常化へ変える医療(先制医療)が台頭してくることが考えられます。
 このようにマルチオミックスを解析し、分子ネットワークの異常を病態として同定する医学アプローチは「システム分子医学」[7]と呼ばれています。それらの情報からの診断・治療・予後予測に至る関係図は図1のようになります。

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田中博編著 疾患システムバイオロジー(2012年8月)培風館
図1 生命分子情報を取り入れたPrecision Medicine
図1 マルチオミックスからの分子ネットワーク病態認識

この図からPrecision Medicine の進め方を考えてみます。まず患者(あるいは健常者)に対してオミックスプロファイルなどの「検査」を行い、患者特異的な分子ネットワークの調節不全分枝を同定して、パスウェイ亜系分類により「診断」を行います。これにより患者の疾患サブグループが決定されます。次にそのサブグループごとに作られているパスウェイ標的の治療計画に沿った「治療(発症前であれば先制医療)」を行います。そして同時にパスウェイの治療後の「予後予測」を行い、患者のフォローを行っていくといった個別化医療が想定できます。これが究極のPrecision Medicineとなると考えられます。

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