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売上収益の動向から見る国内製薬産業
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図5 国内医療用医薬品売上高対前年増減比推移

図5 国内医療用医薬品売上高対前年増減比推移

出所:決算短信、決算補足資料、決算説明会資料、有価証券報告書

図5中に薬価改定と後発品促進策の数値目標が示された時期も併せて示しましたが、これらの薬剤費抑制策がボディーブローのように徐々に新薬系製薬会社各社の売上収益性に影響を及ぼしていることがうかがわれました。

おわりに

製薬協に加盟する東証1部上場26社を対象に、2007年度から2014年度の間の売上収益動向を調査しました。2008年度から徐々に減速していった成長力は、円安の追い風を受けて海外での業績を伸ばすなどの努力により、2011年度を境に急速に売上収益力に力強さを取り戻しつつありましたが、薬価改定の年でもあった2014年度には、前年度比ほぼゼロ成長と、例年にない厳しい落ち込みとなりました。そして、その主な要因の1つは、国内医療用医薬品市場における売上の減速であることが、明らかとなりました。また、その背景には薬価改定のみならず、後発品使用促進策の着実な浸透があると各社は認識していました。
 企業規模の観点でグローバルメガ製薬企業に後れを取っている国内新薬系製薬各社は、大手を中心に新薬の研究開発競争にまで後れを取らぬように、2007年度以降も利益率を抑えながらも売上高に対して18〜20%もの研究開発投資を確保する[6]という積極的な経営判断を行なってきました。これも売上収益の成長が確保されて初めて持続的に可能となるべきもので、今回の国内医療用医薬品売上推移の調査対象19社では、研究開発費に関する情報未開示の1社を除く18社中9社で、2014年度に前年より研究開発費を伸ばしましたが、半面、営業利益を前年より伸ばすことができたのは6社にすぎず、国内市場からの売上高を重要な収益の柱とする国内新薬系製薬会社にとっては、将来成長に向けた投資が息切れをしかねない状況です。
 政府が目指すプライマリーバランスの黒字化に向けた財政健全化目標を達成するための財政健全化計画に関する議論が進められています。その中で、歳出削減の観点から、一般歳出の50%強を占める社会保障費の抑制が主要な検討対象の1つとなっていることはやむを得ないこととしても、従来にも増して医療費の削減に対する風当たりが強まっています。その中でも、現在議論されているいっそうの後発品使用促進をはじめとする薬剤費の圧縮につながる政策強化が採られた場合、国の成長の源泉となるイノベーションの担い手として期待される新薬系製薬会社の持続的成長力に対する影響が懸念されます。

mark [6]
日本製薬工業協会 DATABOOK 2015 p.39 製薬企業の研究開発費と利益の対売上高比率の推移(大手10社)

医薬産業政策研究所 統括研究員 村上 直人

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