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製薬企業によるIFRS(国際会計基準)任意適用
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決算集計結果にみる日本基準とIFRSの相違

次に、売上高、営業利益、当期純利益、販売費および一般管理費とその一部をなす研究開発費それぞれについて、IFRS適用5社が公表している日本基準に基づく値とIFRSに基づく値との相違を確認する目的で、5社分の合計額を比較しました(表3)。

表3 日本基準とIFRS比較

(単位 : 億円)
IFRS 任意適用5 社合計
日本基準
差異
(IFRS-日本基準)
IFRS
売上高
45,464
-296
(-0.7%)
45,168
販売費および一般管理費
25,610
-2,283
(-9.8%)
23,327
研究開発費(再掲)
7,962
-275
(-3.6%)
7,687
営業利益
5,545
-817
(-17.3%)
4,728
当期純利益
3,183
125
(3.8%)
3,308

(出所 : 各社決算短信、決算補足資料、有価証券報告書)

売上高、研究開発費、当期純利益に関しては両基準間で大きな違いは認められませんでしたが、販売費および一般管理費に関しては、両基準間の差はIFRSにより算出された値に対して9.8%と、大きな差が認められました。本業により得た利益の指標である営業利益ではその差はさらに大きく、17.3%であることがわかり、適用する会計基準が異なることで、同じ表記の財務指標であっても、実績値に少なからぬ差異が生じ、業績に対する評価に影響を及ぼし得ることが示唆されました。

おわりに

医薬品業界では、IFRS適用による決算に移行した、あるいは移行を予定している会社の比率が他業界に比べて相対的に高く、また2014年6月に閣議決定された「日本再興戦略」改訂版には、金融・資本市場の活性化の施策としてIFRSの任意適用企業の拡大促進が掲げられています。これらを機に、今後、さらにIFRSの任意適用を決定する会社が増加してくる可能性があります。
 今回検討したIFRS適用5社の日本基準、IFRS、2つの会計基準に基づく決算報告の集計値の比較から、企業の業績を示す 主要財務指標の実績値の一部に、無視できないレベルの差異がみられました。特にIFRS適用会社の比率が高い医薬品業界では、日本基準を採用する会社とIFRS適用会社を含む複数社の決算報告に基づいた業績動向の分析を行う場合、両基準 間の相違点に起因する財務指標にみられる差異が、実態を正しく把握する妨げとなり得ることが示唆されました。結果の利用に当たっては、その目的に応じた十分な考察が必要と考えます。

医薬産業政策研究所 統括研究員 村上 直人

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