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「第26回製薬協政策セミナー」を開催
健康・医療戦略を踏まえた医薬品産業の発展に向けて
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中垣 英明氏
中垣 英明氏
わが国には決して人・物・金がないわけではありません。大学にはシーズがあり、企業には人材のプールがあり、最近ではさまざまな資金調達手段も生まれています。それらをいかにつなぎ、最適化するかも今後の大きな課題です。日本医療研究開発機構には、そうした課題を踏まえた社会システムデザイン、組織システムデザインの設計者としての役割にも期待したいと思います。
山口 多田会長は製薬業界の立場から、創薬支援ネットワークに対し、どのようなことを期待しますか。
多田 アカデミア発のシーズが医薬品として完成するまでには、大小の臨床試験が行われます。その臨床試験のどのフェーズまでアカデミアが行うべきなのかは明確化されていません。欧米のベンチャーは少なくともフェーズⅠbあたりまでは行っています。創薬支援ネットワークは、研究の初期からアカデミアにさまざまな支援を行うわけですが、アカデミアにどの段階まで仕上げることを求め、どの段階のものを企業に提案させるのか、非常に関心をもっています。少なくとも、企業が納得できるレベルまで仕上がるように支援してもらいたいと思います。
山口 中垣さんが所属する内閣官房は、創薬支援ネットワーク立ち上げを主導したわけですが、ネットワークの役割について何か補足がありますか。
中垣 大学の研究者がよいシーズと判断するレベルと、企業側が求めるレベルにはギャップがあると思います。 創薬支援ネットワークは、そのギャップを埋めるコーディネーターでもあります。また、特許の管理についても支援します。iPS細胞も知的財産の保護がまだ十分ではないとの声が聞かれますので、研究の成果に伴う知的財産の確実な保護という点でも、創薬支援ネットワークは力を発揮できると思います。

海外から日本への呼び込みも視野に入れるべき

山口 このセミナーにおけるテーマは基本的に医薬品ですが、今回の制度改革には医療機器や再生医療の開発促進も盛り込まれています。中垣さん、その概要について教えてください。
中垣 医療機器については、経産省が中心になって医療機器開発のネットワークを構築する計画があります。医療機器の多くは使用しながら改良していくものですし、製造会社には中小企業が多い傾向もあります。そこで経産省では、画期的な製品を開発できるポテンシャルがありながら、医療に対する知識が不十分な中小企業に対し、承認申請に関するノウハウを教えるなどの支援を考えています。一方、再生医療については、医薬品や医療機器とは異なる仕組みを構築し、安全性をしっかり担保できるようにすることが当面の目標になっています。
山口 仙石先生は再生医療研究の中心となるアカデミアの立場にあるわけですが、今回の一連の法制定・改正をどのように評価していますか。
仙石 2013年11月に発効した「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」や改正薬事法には、非常に大きなインパクトを感じています。特に市場の要望も踏まえ、再生医療の迅速な提供を図る方向性が盛り込まれたことは国際的にも高く評価されています。医療機器に関しては中小企業も巻き込んだ取り組みが必要との指摘がありましたが、再生医療に関しては、私は海外の医師や製薬企業の日本への呼び込みも視野に入れるべきだと考えています。特にヨーロッパ圏では厳格な規制や経済停滞が足かせになっているようで、日本を含むアジア市場に活路を見出そうという機運はかなり高まっています。これは先ほど話した日本発の製品開発におけるジレンマの解決法の一つで、患者も含めた海外からの呼び込みによって、わが国で日本発のプロダクト、サービスを試すことができれば、まさに一挙両得の解になると考えています。すなわち、今回の法制定は規制緩和のみならず、最終的には国家戦略特区などの取り組みを支援する後ろ盾にもなると考えられ、とりわけ再生医療の分野における期待は大きいと思います。
多田 製薬協でも、細胞などを扱っている海外の製薬企業などから今回の法制定に関する質問を受ける機会がかなり増えています。ですから、新しい法制定が国際的に関心を集めていることは事実だと思います。ただし、生産の効率と品質の安定性、そして安全性という観点から考えると、再生医療の開発は医薬品の生産・開発とは基本的に異なります。しかも、いろいろな周辺技術も必要になるため、製薬企業が貢献できる部分と他領域の方々の助力が必要な部分とがあります。したがって、事業化は一筋縄ではいかないはずですが、それでも低分子から高分子へ、それが細胞へ、そして組織へと移行してきた医薬・医療の流れを考えると、医療の将来はそうした方向にあるのだと思います。

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