医薬品評価委員会 2021-16 治験薬管理ファイルの保管場所

関連分類:記録の保存

初回公開年月:2021年08月

質問

治験薬管理ファイル(GCP第39条ガイダンス4に記載されている治験薬が適切に管理されていることを示すために作成、保存される資料)の保管場所について質問させてください。
私が治験業務を行っている実施医療機関では、これまで治験薬管理ファイルを治験薬とともに薬剤部の保管棚に一緒に保管を行っていました。しかし、薬剤部から保管場所が厳しくなったとの理由から治験薬管理ファイルを各SMOの棚に保管をして欲しいと依頼をされました。

治験薬は薬剤部の棚、治験薬管理ファイルは薬剤部となりの治験管理室内SMOの棚(この棚の管理はSMOであり、鍵の管理もSMOです)となり、SMOが治験薬管理ファイルを管理している状況になってしまいました。

薬剤部へ治験薬管理者が管理するファイルであり、治験薬管理手順書等、治験薬管理に関する資料があるため、治験薬と一緒に薬剤部での保管が必要であると説明をしましたが、「理想論」と理解されてしまいました。実施医療機関のSOPには治験薬管理ファイルの保管についての記録がなく、実施医療機関と各SMOとの契約書内には「治験薬管理の補助(投薬状況と残薬量の確認、搬入と返却、記録の保管)」とあり、記録の保管がそれに該当するのではないかと思いました。

「治験薬と治験薬管理ファイルをともに保管をする」との理解は間違っているのでしょうか。それとも実施医療機関の薬剤部の状況を考慮し、各SMOで保管とすることは正しいのでしょうか。

製薬協見解

ご質問の「治験薬と治験薬管理ファイルをともに保管をする」との理解は間違っていません。< p/>

一方で、資料の保管スペース等の物理的な問題により、治験薬と治験薬管理ファイルを同じ場所に保管できないケースもあると思われます。そのような場合の考え方を以下に記載しました。

記録の保存の観点では、GCP第41条第2項ガイダンス2には、「実施医療機関の長又は記録保存責任者は、これらの記録がこの保存義務期間中に紛失又は廃棄されることがないように、また求めに応じて提示できるように必要な措置を講じておくこと。」と規定されていますが、この措置に関する具体的な保存方法につきましては、実施医療機関の手順書に従っていただくことになります。

また、治験薬管理者・補助者の業務遂行の観点では、GCP第39条に規定されている内容が適時適切に行える状態になければなりません。

本件で言えば、治験薬管理者・補助者が業務遂行に際し当該ファイルに何時でもアクセスできること、第三者によるアクセスが容易ではなく、紛失又は廃棄されることがないような安全な場所を確保するために必要な措置が可能であれば、実施医療機関と当該業務の委託契約に基づき、各SMOで治験薬管理ファイルを保管することに問題はないものと考えます。

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