医薬品評価委員会 2017-79 記録保存期間終了に関する実施医療機関への通知(その2)

関連分類:記録の保存

初回公開年月:2018年03月

質問

開発の中止等に関する報告書の発行のタイミングについての質問です。

大学病院に在籍していた際には、本報告書が治験終了から大幅に遅れて届くことはなかったのですが、一般病院に移ってからは、本報告書が終了から1年以上経過していても発行されていないと言われることが多く、原資料などの保存期限が未定であるため保存に際して大変困っています。本報告書の発行のタイミングの目途やそれに代わる書類保存期限をお知らせするような通知は、治験依頼者が発行するまでは、調べていただくことは難しいのでしょうか?

これまで実際に、本報告書は未発行と言われていたため、長期にわたり保存をしていましたが、余りにも長いので電話等で確認をしたところ、保存期限が終了していても連絡が入っていない治験が多々ありました。保存場所が限られている中で、必要な書類を保存する上で治験依頼者の方にもご協力をいただきたいと考えています。

製薬協見解

実施医療機関では、以下の(1)または(2)のうちいずれか遅い日までの期間、記録を保存しなければならないとされています(GCP第41条第2項ガイダンス1)。

  1. (1)
    当該被験薬に係る医薬品の製造販売承認日(開発中止の通知を受けた場合、通知日から3年が経過した日)
  2. (2)
    治験の中止又は終了後3年が経過した日

したがって、治験依頼者は各試験が終了した時点ではなく、当該被験薬の製造販売承認日または開発中止判断日等が特定できた時点で、記録の保存期限を実施医療機関に連絡することとなりますが、そのタイミングは開発の進捗、規制当局の審査状況によっては、治験終了から数年後になる場合があります。また、医薬品の開発においては、複数の治験が実施される他、治験以外に種々の試験が実施されており、開発の中止は様々な理由により決定されます。ゆえに、治験の終了から相当の時間が経過した後に開発中止が決定される場合もあります。

また、GCP第4条第1項ガイダンス6において、治験依頼者は実施医療機関及び治験審査委員会において保存すべき記録について、保存の必要がなくなった場合には、その旨を通知する必要があることが示されております。したがって、治験依頼者は速やかに保存不要の旨を通知すべきですが、上記の理由により時間を要する場合があります。治験依頼者から保存期限の通知がなく、確認が必要な際には、該当する治験依頼者へ問い合わせることで良いと考えます。

また、記録の保存場所が限られているとのことですので、「治験関連文書における電磁的記録の活用に関する基本的考え方の一部改正について(平成26年7月1日:厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡)」等をご参考に、記録の取り扱い方法をご検討されるのも一案と思われます。

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