くすり偉人伝 No.03 高峰譲吉 くすり偉人伝 No.03 高峰譲吉 くすり偉人伝 No.03 高峰譲吉

胃腸薬「タカヂアスターゼ」を開発し、血を止めるくすり「アドレナリン」も発見した科学者&実業家。

高峰譲吉(たかみね・じょうきち)はなにをした人なの?
高峰譲吉(たかみね・じょうきち)はなにをした人なの?

世界中で大ヒットした胃腸薬「タカヂアスターゼ」を開発

高峰譲吉(たかみね・じょうきち)は、消化酵素(しょうかこうそ)という物質を利用した胃腸薬「タカヂアスターゼ」を開発しました。

消化酵素(しょうかこうそ)とは、体の中で食べ物を細かく分解し、栄養素を吸収(きゅうしゅう)しやすくしてくれる物質です。しかし、食べ過ぎたり、胃腸が弱っていると、消化酵素(しょうかこうそ)の働きがにぶくなり、消化不良を起こしてしまいます。

タカヂアスターゼは、胃腸の働きを助けて、消化不良を解消してくれるくすりです。その強力な効(き)き目から、日本だけではなく、世界中でも大評判になりました。

高峰 譲吉たかみね・じょうきち 高峰 譲吉たかみね・じょうきち
高峰 譲吉
たかみね・じょうきち
1854~1922
化学者・実業家
マメ知識 マメ知識
ごはんをかむと甘(あま)くなるのも消化酵素(しょうかこうそ)の働き ごはんをかんでいるときに「ごはんが甘(あま)くなった!」と感じたこと、ありませんか?
実は、それも消化酵素(しょうかこうそ)の働きによるもの。ごはんにふくまれるデンプンを分解して糖分(とうぶん)にかえ、吸収(きゅうしゅう)しやすくしています。ごはんを口に入れたあと、しっかり何回もかんでいると、甘(あま)く感じるのはそのためなのです。
他にもすごい発見をしたって本当?
他にもすごい発見をしたって本当?
体の器官の働きを調整するホルモン「アドレナリン」も発見

譲吉(じょうきち)は、アドレナリンの発見者でもあります。
アドレナリンは、体の機能を調節する物質「ホルモン」の1種で、心臓(しんぞう)の動きを活発にしたり、血圧を上げるなど、臓器(ぞうき)の働きを調整しています。
また、血管の伸(の)び縮(ちぢ)みも調整できるため、出血を止めるくすりとしても使われています。
他にも、心臓(しんぞう)の動きを調整するくすりや、ぜんそくの発作をおさえるくすりとしても使われたりと、手術や病気の 治療(ちりょう) に欠かせない重要なくすりとして大活躍 (だいかつやく)しています。

マメ知識 マメ知識
世界初となった貴重(きちょう)な成功例 譲吉(じょうきち)は、世界で初めてアドレナリンを結晶(けっしょう)の形で取りだすことに成功しました。これはかなり貴重(きちょう)な成功例といえます。
この成功例がきっかけで、アドレナリンを始めとする「ホルモン」という物質が、多くの研究者に注目されるようになり、世界中でホルモンに関する研究がおこなわれるようになりました。
高峰譲吉(たかみね・じょうきち)はどんな会社をつくったの?
高峰譲吉(たかみね・じょうきち)はどんな会社をつくったの?
化学肥料会社や製薬会社などをつくって、世界を舞台(ぶたい)に大活躍(だいかつやく)!

譲吉(じょうきち)は、独創的(どくそうてき)な研究者・発明家であると同時に、起業家・実業家としても有名でした。 化学肥料の研究もしていた譲吉(じょうきち) は、鉱石を使って肥料を効率良くつくる方法を考え、会社を設立。日本初の化学肥料を製造・販売(はんばい)し、大ヒットさせました。
他にも、製薬会社やアルミ産業などにも関わり、いずれも大成功を納(おさ)めています。このような譲吉(じょうきち)の活躍(かつやく)は、日本の産業を元気にしました。

マメ知識 マメ知識
化学肥料は東京都江東区(とうきょうとこうとうく)で生まれました
譲吉(じょうきち)が化学肥料の会社をつくった場所は、現在の東京都江東区(とうきょうとこうとうく)の釜屋堀公園(かまやぼりこうえん)のあたりでした。
その公園には、「化学肥料が生まれた場所」として、記念の石碑(せきひ)がたてられています。
釜屋堀公園(かまやぼりこうえん)の記念碑(きねんひ) 釜屋堀公園(かまやぼりこうえん)の記念碑(きねんひ)
釜屋堀公園(かまやぼりこうえん)の記念碑(きねんひ)
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監修 望月眞弓(慶應義塾大学 名誉教授)