胃腸薬「タカヂアスターゼ」を開発し、血を止めるくすり「アドレナリン」も発見した科学者&実業家。
世界中で大ヒットした胃腸薬「タカヂアスターゼ」を開発
高峰譲吉(たかみね・じょうきち)は、消化酵素(しょうかこうそ)という物質を利用した胃腸薬「タカヂアスターゼ」を開発しました。
消化酵素(しょうかこうそ)とは、体の中で食べ物を細かく分解し、栄養素を吸収(きゅうしゅう)しやすくしてくれる物質です。しかし、食べ過ぎたり、胃腸が弱っていると、消化酵素(しょうかこうそ)の働きがにぶくなり、消化不良を起こしてしまいます。
タカヂアスターゼは、胃腸の働きを助けて、消化不良を解消してくれるくすりです。その強力な効(き)き目から、日本だけではなく、世界中でも大評判になりました。
たかみね・じょうきち
1854~1922
化学者・実業家
実は、それも消化酵素(しょうかこうそ)の働きによるもの。ごはんにふくまれるデンプンを分解して糖分(とうぶん)にかえ、吸収(きゅうしゅう)しやすくしています。ごはんを口に入れたあと、しっかり何回もかんでいると、甘(あま)く感じるのはそのためなのです。
譲吉(じょうきち)は、アドレナリンの発見者でもあります。
アドレナリンは、体の機能を調節する物質「ホルモン」の1種で、心臓(しんぞう)の動きを活発にしたり、血圧を上げるなど、臓器(ぞうき)の働きを調整しています。
また、血管の伸(の)び縮(ちぢ)みも調整できるため、出血を止めるくすりとしても使われています。
他にも、心臓(しんぞう)の動きを調整するくすりや、ぜんそくの発作をおさえるくすりとしても使われたりと、手術や病気の 治療(ちりょう)
に欠かせない重要なくすりとして大活躍
(だいかつやく)しています。
この成功例がきっかけで、アドレナリンを始めとする「ホルモン」という物質が、多くの研究者に注目されるようになり、世界中でホルモンに関する研究がおこなわれるようになりました。
譲吉(じょうきち)は、独創的(どくそうてき)な研究者・発明家であると同時に、起業家・実業家としても有名でした。 化学肥料の研究もしていた譲吉(じょうきち)
は、鉱石を使って肥料を効率良くつくる方法を考え、会社を設立。日本初の化学肥料を製造・販売(はんばい)し、大ヒットさせました。
他にも、製薬会社やアルミ産業などにも関わり、いずれも大成功を納(おさ)めています。このような譲吉(じょうきち)の活躍(かつやく)は、日本の産業を元気にしました。
その公園には、「化学肥料が生まれた場所」として、記念の石碑(せきひ)がたてられています。