結核(けっかく)の原因となる結核菌(けっかくきん)をはじめ、数多くの病原菌(びょうげんきん)を発見したドイツの医師・細菌学者。
結核(けっかく)を引き起こす細菌(さいきん)「結核菌(けっかくきん)」を発見
1882年3月24日、コッホは「結核(けっかく)の原因となる結核菌(けっかくきん)を発見した」と発表し、結核(けっかく)が人から人へ広がっていく伝染病(でんせんびょう) であることを証明しました。
この発表は大ニュースとしてたちまち世界中に広がりました。なぜなら、世界中で難病(なんびょう)としておそれられた結核(けっかく)の原因がわかったので、予防や
治療(ちりょう)
もやがて可能になるだろうと、人々の期待が大きくふくらんだからです。
実際、結核菌(けっかくきん)の発見から30年後に、結核治療(けっかくちりょう)のためのくすりがいくつも生み出されました。
(Heinrich Hermann
Robert Koch)
1843~1910、ドイツ
医師・細菌学者
(さいきんがくしゃ)
今でも結核(けっかく)にかかる人はあとを絶ちません。コッホの偉大(いだい)な発見をムダにしないためにも、油断せず予防や治療(ちりょう)について知り、備えていくことが大切なのです。
コッホは、結核菌(けっかくきん)の他にも、伝染病(でんせんびょう)の原因となる菌(きん)を発見しています。
1つは、ドイツでウシやブタなど家畜(かちく)の間に流行した、炭(たん)そ病の原因である炭(たん)そ菌(きん)。
インドで大流行したコレラの原因であるコレラ菌(きん)も発見しました。コレラは激(はげ)しい腹痛(ふくつう)におそわれ、ひどい場合は、感染後(かんせんご)
1~2日で死んでしまうこわい病気です。
こうした業績により、コッホはパスツールと並(なら)び「細菌学(さいきんがく)の父」とよばれて尊敬(そんけい)され、1905年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
一度かかってしまうと、さんざん苦しんだあげく死にいたることから、「神の罰(ばつ)によって引き起こされている」と考えられていた時代もあったそうです。
コッホは研究の達人でした。
とくに有名なのが、肉汁(にくじゅう)をゼラチンで固めて、その上で 細菌(さいきん)を育てる方法を考え出したことです。この方法なら、同じ種類の細菌(さいきん)
を、1ヶ所にまとめて育てられるのです。
コッホが開発したこの方法は「純粋培養法(じゅんすいばいようほう)」とよばれます。純粋培養法(じゅんすいばいようほう)のおかげで、コッホは「1つの細菌(さいきん)が1つの
伝染病(でんせんびょう)を引き起こす」ということを証明できました。 純粋培養法(じゅんすいばいようほう)は、現在も病原菌(びょうげんきん)の発見に大いに役立っています。
また、細菌(さいきん)に色をつける技術を開発したのもコッホでした。