くすり偉人伝 no.07Koch くすり偉人伝 no.07Koch くすり偉人伝 no.07Koch

結核(けっかく)の原因となる結核菌(けっかくきん)をはじめ、数多くの病原菌(びょうげんきん)を発見したドイツの医師・細菌学者。

コッホはなにを発見したの?
コッホはなにを発見したの?

結核(けっかく)を引き起こす細菌(さいきん)「結核菌(けっかくきん)」を発見

1882年3月24日、コッホは「結核(けっかく)の原因となる結核菌(けっかくきん)を発見した」と発表し、結核(けっかく)が人から人へ広がっていく伝染病(でんせんびょう) であることを証明しました。

この発表は大ニュースとしてたちまち世界中に広がりました。なぜなら、世界中で難病(なんびょう)としておそれられた結核(けっかく)の原因がわかったので、予防や 治療(ちりょう) もやがて可能になるだろうと、人々の期待が大きくふくらんだからです。
実際、結核菌(けっかくきん)の発見から30年後に、結核治療(けっかくちりょう)のためのくすりがいくつも生み出されました。

ロベルト・コッホ ロベルト・コッホ
ロベルト・コッホ
(Heinrich Hermann
Robert Koch)
1843~1910、ドイツ
医師・細菌学者
(さいきんがくしゃ) 
マメ知識 マメ知識
3月24日は結核(けっかく)について考える「世界結核(せかいけっかく)デー」 コッホが結核菌発見(けっかくきんはっけん)を発表した日である3月24日は 「世界結核(せかいけっかく)デー」とされ、結核(けっかく)について考える日になっています。
今でも結核(けっかく)にかかる人はあとを絶ちません。コッホの偉大(いだい)な発見をムダにしないためにも、油断せず予防や治療(ちりょう)について知り、備えていくことが大切なのです。
コッホはどうしてノーベル賞を受賞できたの?
コッホはどうしてノーベル賞を受賞できたの?
いくつもの病原菌(びょうげんきん)を発見して、ノーベル賞を受賞

コッホは、結核菌(けっかくきん)の他にも、伝染病(でんせんびょう)の原因となる菌(きん)を発見しています。
1つは、ドイツでウシやブタなど家畜(かちく)の間に流行した、炭(たん)そ病の原因である炭(たん)そ菌(きん)。
インドで大流行したコレラの原因であるコレラ菌(きん)も発見しました。コレラは激(はげ)しい腹痛(ふくつう)におそわれ、ひどい場合は、感染後(かんせんご) 1~2日で死んでしまうこわい病気です。
こうした業績により、コッホはパスツールと並(なら)び「細菌学(さいきんがく)の父」とよばれて尊敬(そんけい)され、1905年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

マメ知識 マメ知識
その昔、伝染病(でんせんびょう)は神の罰(ばつ)だと考えられていた コッホが病原菌説(びょうげんきんせつ)を明らかにする以前は、伝染病(でんせんびょう)の原因はわからないままでした。
一度かかってしまうと、さんざん苦しんだあげく死にいたることから、「神の罰(ばつ)によって引き起こされている」と考えられていた時代もあったそうです。
コッホは研究の達人だったって本当?
コッホは研究の達人だったって本当?
1種類の細菌(さいきん)だけを育てる「純粋培養法(じゅんすいばいようほう)」を開発

コッホは研究の達人でした。
とくに有名なのが、肉汁(にくじゅう)をゼラチンで固めて、その上で 細菌(さいきん)を育てる方法を考え出したことです。この方法なら、同じ種類の細菌(さいきん) を、1ヶ所にまとめて育てられるのです。
コッホが開発したこの方法は「純粋培養法(じゅんすいばいようほう)」とよばれます。純粋培養法(じゅんすいばいようほう)のおかげで、コッホは「1つの細菌(さいきん)が1つの 伝染病(でんせんびょう)を引き起こす」ということを証明できました。 純粋培養法(じゅんすいばいようほう)は、現在も病原菌(びょうげんきん)の発見に大いに役立っています。
また、細菌(さいきん)に色をつける技術を開発したのもコッホでした。

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監修 望月眞弓(慶應義塾大学 名誉教授)