


ウイルスによる感染症(かんせんしょう)・天然痘(てんねんとう)の予防方法を開発したイギリスの医学者。

天然痘(てんねんとう) の予防法「種痘(しゅとう)」を開発
天然痘(てんねんとう)は、とてもこわい病気の1つで、感染(かんせん)すると高い熱がでて、体中にブツブツした発疹(はっしん)ができ、苦しんだすえに死んでしまうこともある病気です。
天然痘(てんねんとう) ウイルスが原因で発病し、強い感染力(かんせんりょく)がある天然痘(てんねんとう)
。そのため、一度発症(はっしょう)すると、あっという間に周りに広がってしまいます。
ジェンナーは、この天然痘(てんねんとう)というこわい病気にかからないようにする「種痘(しゅとう)」という方法を考えました。これで世界中の人が天然痘(てんねんとう)を気にせず暮(く)らせるようになったのです。


ジェンナー
(Edward Jenner)
1749~1823
イギリス、医学者


中には王様などのエライ人もたくさんふくまれていたため、天然痘(てんねんとう)がなければ、もしかしたら歴史はかわっていたかもしれません。

体には、ウイルスが入ってくると、抗体(こうたい)という物質をつくり出して追い出そうとする力があります。このしくみを免疫
(めんえき)と言い、一度抗体(こうたい) ができれば同じ病気にかからなくなります。
ジェンナーは、この力を利用した「種痘(しゅとう)」という予防法を考えました。それは、天然痘(てんねんとう)ほど危険(きけん)ではない「牛痘(ぎゅうとう)(ウシがかかる天然痘(てんねんとう))」にかかった人のウミを、まだ天然痘(てんねんとう)にかかっていない人にわざと注射(ちゅうしゃ)して、天然痘(てんねんとう)の抗体(こうたい)をつくるという方法です。こうして、みんな本物の天然痘(てんねんとう)にかからずにすむようになりました。


この話をヒントにして、ジェンナーは天然痘(てんねんとう)の研究に取り組み、ウシやブタで実験をくり返しおこないました。そしてついに「種痘(しゅとう)」を完成させ、仮説が正しいことを証明したのです。

ジェンナーは、医師としてだけでなく、博物学者としても有名でした。博物学とは、動物、植物、鉱物、地質など、自然界にあるすべてのものを研究する学問のことです。
自然観察や動物観察、昆虫採集(こんちゅうさいしゅう)などが、博物学の代表的な研究方法です。
ジェンナーは病気の研究の合間に、動物や植物の観察・研究をおこなったり、化石を集めたりしていました。
研究の他には、バイオリン演奏(えんそう)を得意とし、腕前(うでまえ)もなかなかのものだったようです。


卵(たまご)からかえったカッコウのヒナは、他の鳥の卵(たまご)をすべて巣から落とし、子どもになりすまして、他の鳥に育ててもらうのです。カッコウがこのようなおどろきの行動をとることを、最初に発見したのがジェンナーでした。