


麻酔薬(ますいやく)を開発し、世界初の全身麻酔(ぜんしんますい)によるがんの手術に成功した外科医。

なにを開発したの?
「通仙散(つうせんさん)」という麻酔薬(ますいやく)を開発
青洲(せいしゅう)は、25才のころから外科医として診察(しんさつ)・治療(ちりょう) をおこないながら、麻酔薬(ますいやく)の研究に取り組みはじめました。
麻酔薬(ますいやく)とは、患者(かんじゃ)が「痛(いた)い」と感じる感覚を、一時的にとりのぞくことができるくすりです。麻酔薬(ますいやく)がなかったころは、患者
(かんじゃ)は痛(いた)みを必死に我慢(がまん)しながら手術を受けるしかありませんでした。
長年の研究のすえ、青洲(せいしゅう)は「通仙散(つうせんさん) 」という麻酔薬(ますいやく)の開発に成功。1804年に通仙散(つうせんさん)を使って世界初の全身麻酔(ぜんしんますい)による手術を成功させました。


はなおか・せいしゅう
1760~1835
外科医(げかい)


主な材料は、植物の毒?!
「マンダラゲ」は、実は人間の体をしびれさせる毒を持っています。その毒を利用して、痛(いた)みの感覚をなくして、手術をおこなうことができたのです。



による乳(にゅう)がんの手術に成功
1804年、青洲(せいしゅう)は通仙散(つうせんさん)を使って世界初となる全身麻酔(ぜんしんますい)をおこない、60才の女性の乳(にゅう)がん手術に成功しました。
日本以外では、1846年にアメリカでエーテルという薬品を使った全身麻酔(ぜんしんますい)による手術が成功しています。
青洲(せいしゅう)の全身麻酔(ぜんしんますい)による手術は、アメリカの手術よりも40年以上前におこなわれていたのですから、青洲(せいしゅう)の成功は前例のないすばらしいものです。


昔は1度かかると治らない病気と言われ、青洲(せいしゅう)も妹を乳(にゅう)がんで亡(な)くしていました。そのため青洲(せいしゅう)は、「乳(にゅう)がんの手術を成功させたい」という思いが強かったのです。



手術にも取り組む天才医師
今では、かぜは内科、耳の病気は耳鼻科というように、病院の診療科(しんりょうか)が細かく分かれていますが、昔はそのような区別がありませんでした。そのため青洲(せいしゅう)は、あらゆる病気やケガを診察(しんさつ)し、
治療(ちりょう)
や手術をおこなっていたのです。
青洲(せいしゅう)は、たくさんの治療道具(ちりょうどうぐ)や手術道具を開発しました。また、麻酔薬(ますいやく)の通仙散(つうせんさん)を使用してさまざまな手術をおこない、その手術例は100種類を超(こ)えていたと言われています。
青洲(せいしゅう)は、たくさんの人たちを病気やケガの苦しみから救った天才医師だったのです。


麻酔(ますい)を使うには高度な技術と知識が必要です。そのため青洲(せいしゅう)は、患者(かんじゃ)に危険(きけん)がおよばないように、きちんと麻酔(ますい)について学んだ自分の弟子たちにしか教えなかったのです。