医薬品評価委員会 2007-24 治験審査委員会の意見と治験実施医療機関の長の決定の関係
関連分類:治験審査委員会
初回公開年月:2008年01月
改訂公開年月:2012年03月
質問
IRBの役割についてお教え下さい。IRBは以下の役割を持っていると理解しています。
- IRBは病院の意思決定機関ではない。
- 治験を実施するか否かは病院が決定し、実施すると決めたらIRBの意見を聴く。
- 治験実施中に重篤な副作用情報を入手したら、責任医師が検討し治験の継続の可否を判断し病院長へ報告する(GCPに明記されていない)。
- 責任医師の判断が治験の継続可能だった場合、病院長はIRBの意見を聴く→IRBは有害事象の内容を検討し(責任医師の判断を)承認する・条件付けで承認する・却下する・既に承認した事項を取り消す、のいずれかの決定を下す。
- 責任医師の判断が治験の中止・中断だった場合、病院長はIRB及び依頼者にその旨通知する
要は、まず病院側が意思決定をしてからIRBの意見を聴くのであって、IRBの検討結果を踏まえて病院の意思決定をするのではない。まず上記の理解が正しいかどうかお教え下さい。
IRBの審議結果と病院長の指示決定が異なる場合は、IRBが治験の実施・継続を承認して、病院長が否定する場合しかありえません。ということは、IRBの審議が先で、それを踏まえて病院長が治験の実施・継続を決定するということになってしまいます。
これについてのご見解をお教え下さい。
製薬協見解
GCP第30条第1項ガイダンス1に、「実施医療機関の長は、当該実施医療機関において治験を行うことの適否について、あらかじめ、第27条第1項の治験審査委員会の意見を聴くこと」とあり、実施医療機関の長は治験を受諾することを決定する前に、適否に関する意見を治験審査委員会(以下、IRB)に聴く必要があります。したがいまして、ご質問に記載されています「まず病院側が意思決定をしてからIRBの意見を聴くのであって、IRBの検討結果を踏まえて病院の意思決定をするのではない」という手順ではなく、「病院が治験を受諾する可能性がある場合、実施医療機関の長がIRBの意見を聴き、IRBの意見を踏まえて最終的な決定を下す」のが正しい理解と考えます。
見解改訂理由
「医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について」の改訂(平成23年10月24日)に伴い、GCP第30条第1項ガイダンス1の解説を変更しました。