医薬品評価委員会 2024-37 治験の同意撤回症例のデータの使用可否について
関連分類:同意の取得
初回公開年月:2024年12月
質問
治験が途中で中止(同意撤回を含む)した場合、それまでに取得したデータは使用させて頂くことを同意取得時に同意頂いた場合でも、中止時点でデータを使用することについての改めて被験者に意思を確認する必要はございますか?
ICHのPrivacy Statementによりますと、「For clarifications sake such withdrawal will, however, not affect the lawfulness of processing based on consent before its withdrawal. 」とあることから、中止(同意を撤回)したとしても、同意に基づいて収集したデータを利用することに問題はないと考えますし、特に、治験薬の安全性を検証するためにAEの情報はすべて使用する必要があると考えております。
一方で、被験者に、同意取得時の「それまでに取得したデータを使用することの同意」自体を撤回したいという意思がある場合に、その意思を無視して使用することも難しいと考えております。そのため、中止時に、それまでのデータを使用することについて被験者に改めて確認する必要はありますでしょうか。
製薬協見解
説明文書へ「同意撤回した場合でも、同意撤回までに取得したデータは使用させて頂くこと」を明記し被験者同意を取得した場合には、同意の範疇として、同意撤回までに得られたデータを使用することは問題ないと考えます。そのため、こちらから自主的に改めて被験者に意思を確認する必要もないと考えます。しかしながら、被験者より「それまでに取得したデータを使用することの同意」を撤回したいと申し入れがあった場合には、GCP第1条ガイダンス2に示される通り、「被験者の人権の保護」に対する配慮が最も重要となります。そのため治験責任(分担)医師および治験依頼者は被験者の意思を最大限尊重する対応を取る必要がありますが、申し出のあったタイミングによってはデータ削除の対応が難しいことも想定されるため、その旨被験者に説明の上、それまでのデータを使用することについて被験者に改めて確認する必要があると考えます。